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2008年度上期の決算を発表する江南氏
2008年度上期の決算を発表する江南氏
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 TDKは2008年10月30日,2008年度上期(2008年4月~9月)は,売上高が前年同期比8.4%減の3965億3700万円,営業利益が同69.5%減の143億8100万円の減収減益となった。これで2002年度の上期から続いていた増収増益が途絶え,7年連続は達成できなかった。

 HDD用磁気ヘッドや積層セラミック・コンデンサ(MLCC),インダクティブ・デバイス(コイルやインダクタ,トランスなど),電源モジュールなど,主力製品のほとんどで売上高と営業利益が減少した。その理由は大きく二つある。一つは,単価の下落である。「薄型テレビやゲーム機,パソコン,携帯電話機,HDDといった電子機器本体の出荷台数は順調に伸びている。しかし,先進国における高機能機器の需要が鈍化してしまった。低機能機では,搭載する電子部品の個数が少ない。このため部品の需要が低迷し,需給関係が悪化した結果,単価が下落した」(同社 取締役 専務執行役員の江南清司氏)。もう一つは,為替変動である。
 この二つの理由が営業利益に与えた影響は,単価の下落が-127億円,為替変動が-222億円である。「操業度や品種構成の最適化で+45億円,コストダウンや原材料の値下げで+98億円,販管費の削減で+28億円と営業利益を増やしたものの,営業利益の減少分を補えなかった」(同氏)。

MLCCの不振が続く


 2008年度第2四半期(7月~9月)のみの売上高を製品部門別で見ると,MLCCやフェライト・磁石などから構成される電子材料部門の売上高は,前年同期比12.3%減の465億1700万円だった。大幅な売上高減の理由は,MLCCの不振である。MLCCの売上高は同18%減の約307億円である。「パソコン向けMLCCの売上高が大幅に減少したことが大きい」(江南氏)。一方で,フェライト・磁石の売上高は堅調に推移し,同2%増の約158億円と増加した。

 インダクティブ・デバイスや電源モジュールなどから構成される電子デバイス部門は,前年同期比8.1%減の500億5300万円だった。自動車向け信号系コイルの売上高は前年同期比4%減の約250億円,高周波コイルは同24%減の約25億円,電源モジュールは同10%減の約475億円と軒並み減収に終わった。

 HDDに向けた磁気ヘッドやサスペンション素子から構成される記録デバイス部門の売上高は,前年同期比10.3%減の776億2400万円と大きく減少した。減少した最大の理由は,この部門の売上高の大部分を占める磁気ヘッドの単価下落にある。「出荷数量は増えたが,単価が大幅に下落した」(江南氏)。磁気ヘッドの売上高は同16%減の約706億円だった。一方,2007年8月に買収したシンガポールMagnecomp Precision Technology Public Co., Ltd.のサスペンション素子は好調だった。売上高は198%増と大きく伸び,約70億円に達した。

 その他の部門は,電池などのエネルギー・デバイスや,記録メディアなどから構成される。この部門の売上高も前年同期比2.0%減の317億2000万円と減収に終わった。ただし,同社が最近力を入れている電池の売上高が大きく伸びたという。

年末商戦の特需はなし


 TDKはさらに,2008年度通期(2008年4月~2009年3月)の連結業績見通しを下方修正した。売上高は前年比8.2%減の7950億円,営業利益は同59.9%減の350億円の大幅な減収減益と予想する。「現時点では,2008年度下期,特に第3四半期(10月~12月)には大きな期待をかけられないと見ている。年末商戦の盛り上がりが感じられないからだ」(江南氏)。
 つまり,年末商戦による特需が期待できないことになる。このため同社は現在,2008年度下期の売上高と営業利益を上期とほぼ同程度で推移すると予測している。しかし,「年末商戦以降は全く想定できない」(同氏)とし,さらなる業績悪化の可能性を示唆した