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講演する東芝の今井 浩史氏(セミコンダクター社システムLSI事業部システムLSI設計技術部 設計メソドロジー技術開発担当 参事)。日経BPが撮影。スライドは東芝のデータで,ツール依存(ツールのため)の変換の撲滅を訴えている。
講演する東芝の今井 浩史氏(セミコンダクター社システムLSI事業部システムLSI設計技術部 設計メソドロジー技術開発担当 参事)。日経BPが撮影。スライドは東芝のデータで,ツール依存(ツールのため)の変換の撲滅を訴えている。
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講演するパナソニックの小川 修氏(セミコンダクター社システムLSI事業本部商品開発センター設計第三開発グループ第一開発チーム 主任技師)。日経BPが撮影。スライドはパナソニックのデータで,Cynthesizer導入の背景。
講演するパナソニックの小川 修氏(セミコンダクター社システムLSI事業本部商品開発センター設計第三開発グループ第一開発チーム 主任技師)。日経BPが撮影。スライドはパナソニックのデータで,Cynthesizer導入の背景。
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 SystemC入力の動作合成ツール「Cynthesizer」(米Forte Design Systems, Inc.製)の使い心地に関して,国内ユーザー企業3社が講演した。東芝,パナソニック,沖ネットワークエルエスアイである。

 3社の講演は,Forteの日本法人「フォルテ・デザイン・システムズ」が2008年10月31日に新横浜で催した「Cynthesizerユーザー交流会2008」で行なわれた。このうち聴講した2社,東芝とパナソニックの講演を中心に紹介する。

 東芝は2005年に開催されたCynthesizerのユーザー会でも講演しており(Tech-On!関連記事),Cynthesizerのユーザーとしてはベテランと言える。2007年からは画像処理回路を中心にして,適用事例が急速に増えているという。一方,パナソニックは1年ほど前から実際の製品への適用を始めたという。

 両社,そして沖ネットも講演資料で指摘している,現在のCynthesizerに対する改善要望点(「不満」とも言う)は,大規模なSystemCコードの分割を(ツールのために)人手で行わなければならないことだった。また東芝と沖ネットは,階層的なパイプラインが自動的に合成されないことにも言及している。

 前者は論理合成ツールでもそうだったが,ある意味,ほとんどのEDAツールについて回る問題である。ツールの処理時間を考えると,小さな単位にした方が良い。しかし小さく分割しすぎると,大局的な最適化が難しくなったり,部分間のつなぎの問題が発生する。

 後者の階層的なパイプラインは次のような意味である。ソース・コードにあるループのような簡単なパイプライン化は,現在のCynthesizerが自動的に行なう。しかし,そうして出来上がったパイプライン化された処理が複数あるとき,それらをさらにパイプライン化するのは,現在は人手に頼ることになるようだ。東芝の講演者によれば,2009年には,複数のパイプライン処理のパイプライン化する機能が,Forteから提供される予定だという。

 今回のユーザー会では,パナソニックの講演者に対して,東芝のユーザーが質問する場面があり,興味深かった。東芝からのパナソニックへの第1問は,「市場に複数の動作合成がある中で,Cynthesizerを選んだ」理由である(筆者注:東芝がCynthesizerの導入を決めた当時は,他の選択肢があまりなかった)。パナソニックの答えは,「Cynthesizerは細かなチューニングが可能で,チップ面積や消費電力を小さくできると判断した」だった。

 第2問は,「導入前の評価で回路規模が人手のRTL設計に比べて30%近く大きくなる場合もあるのに,Cynthesizerの導入を決めた」理由である。パナソニックは,「Forte側のツールの改善スピードが速く,実際の製品設計時には増加率は低くなっていると判断した」と答えている。