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 2008年10月31日(金),日経エレクトロニクス編集部でYデスクがおもむろに口を開いた。「で,DSiって誰が入手するの?」――翌日,2008年11月1日は任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDSi」の発売日である。通常,分解対象機器を入手する際は,複数の予約や徹夜で並ぶといった万全の体制が取られる。今回のDSiは大手家電量販店などが予約を受け付けていた。ところが,分解班では今回に限って誰も予約はしていないという。それどころか,前日の現段階でどこの店ならば入手できるのかも分からない。万が一,入手できなければ一大事――ということで,(どちらかと言えばその場のノリで)筆者はDSi入手作戦に参加を余儀なくされた。

 まずは予約なしでもDSiを販売する店舗を確認するところから,作業を始める。分解対象機器の入手といえば,行列することに記者生命を懸けている(と思われる)N記者。彼はほぼ毎回,某大手レンタルCD・DVDチェーン店に買いに行くことを思い出し,会社近くの数店舗に問い合わせてみた。「こちらの店舗では,事前予約分しか販売の予定はございません」――つれない回答が続く。

午前5時半頃の池袋。なんとなく,行列ができている。
午前5時半頃の池袋。なんとなく,行列ができている。 (画像のクリックで拡大)

 もしや,行列をすることに命を懸けている(と思われる)N記者を参考にすること自体が間違いではないのか?参考にすべきは,真にゲーム機を入手したいという思いで動いている人ではないか?そこで,各種ゲーム機をこよなく愛するK記者(隣の編集部所属)に聞いてみた。「大手量販店の主要店舗なら,意外と売っているんじゃないかなぁ。他のゲーム機のとき,某所の店舗では発売日の昼過ぎでも売っていたよ」。アドバイスに従い,早速大手量販店に問い合わせる。「こちらの店舗では,予約受付しておりません。当日販売のみです」「台数は未定ですが,予約分のほかに当日販売分も用意する予定です。多分,午前中くらいで売切れになると見込んでいますが…」――見事,K記者の読みが的中し,量販店の主要店舗では当日販売があることが分かった。Yデスクと手分けして,それぞれ違う店舗で当日販売に臨むことになった。

午前8時半頃。テレビ局のリポーターと思しき女性が,並んでいる人に対してインタビューをしている。
午前8時半頃。テレビ局のリポーターと思しき女性が,並んでいる人に対してインタビューをしている。 (画像のクリックで拡大)

 明けて11月1日(土)。私の担当は2店舗。まずは朝8時に整理券を配布するという情報を得たビックカメラ池袋本店で並び,それでダメなら別の店舗で並ぶという作戦である。かくして私が池袋に着いたのは午前5時半前。電話で問い合わせた際,「前日からの行列はお断りしています」と念を押されたことで妙に不安になり,始発に乗ってしまったのだ。家を出る前の睡眠時間は3時間。周囲は暗い。しかし,店舗の前のガードレール沿いには40人ほどの人がたむろしている。私が店の正面で待とうとすると「あっち,あっち」。既に発売を待つ行列が形成されていたのである。慌てて行列の最後尾を確認して並ぶ。

 その後,待つこと2時間強。時間が過ぎるにつれて,私の後ろにも続々と人が並んでいく。並んでいる身にとっては相当暇な時間だったが,店員は忙しそうだ。店舗正面には特設販売ブースが設置され,着々と準備が整えられていく。さらにはテレビ放送局などの取材クルーも続々到着し,並んでいる人にインタビューを試みていた。

行列の先頭に並んでいた男性(中央の青い上着を着た人)がDSiを購入ところを取材する報道陣。
行列の先頭に並んでいた男性(中央の青い上着を着た人)がDSiを購入ところを取材する報道陣。 (画像のクリックで拡大)

 そしてようやく8時。予告どおり整理券が配布された。台数不足ということはないらしい。やれやれ,これでコーヒーでも飲みに行って…と思いきや,「そのまま並び続けていなければ購入できません」との警告文が。仕方が無く,そのまま並び続けることさらに約1時間半。9時半を過ぎた頃から行列を整えるように指示があり,筆者は第2グループとして4階の玩具売り場へ通された。報道陣が待ち構える特設ブースで購入できるのは,とりあえず第1グループだけらしい。

「DSi買ったぞ」写真を,ビックカメラ池袋本店を背景に撮影。
「DSi買ったぞ」写真を,ビックカメラ池袋本店を背景に撮影。 (画像のクリックで拡大)

 そして9時50分頃,4階の玩具売り場レジにてとうとうDSi本体を購入。もちろん,購入ポイントを使った保証期間の延長は断る。ほっと安堵しながら1階へ向かうと,第1グループの先頭の人が今,まさに購入しようというところ。実は第2グループの方が先に購入できてしまったらしい。折角なのでその場で報道バッジをもらい,写真を撮影した。

 広報担当者によれば,午前9時30分頃の段階でビックカメラ池袋本店には約400人の人が並んでいたという。しかも,入荷台数は非公表とのことだったが,その時点で並んでいる人の分は確保できているとのことだった。かなりガッカリだ。さらに,Yデスクと,飛び入りで参戦したN記者も,無事に入手できたとの連絡が来る。どうやら二人は,前日に「朝,8時過ぎくらいに行けば買えるだろう」と相談していたらしい。

行列ができ,盛り上がっている雰囲気はあったのだが…
行列ができ,盛り上がっている雰囲気はあったのだが… (画像のクリックで拡大)

 いや,元はと言えば,分解担当のS記者が「奥さんと登山に行く約束をしているからDSiを買いに行くことができない」「実はその日に友人の結婚式があり,DSiを買いに行くことはできない」と,言い訳を列挙して機器の入手という役割を放棄したことに問題がある。東京近郊の結婚式であれば,DSi購入後でも参列できるはずだし,もし別の地域だったとしてもその地の量販店で購入することも可能だったはずだ。

 かくして,私は分解用DSiだけでなく,他に二つのものを手に入れたのだった。一つは早朝の寒さの中5時間弱立ちっぱなしだったお陰でひいた風邪,もう一つは同世代の同僚に対する不信感である。

【続報】まずは筐体を明けてみる