図1 「Yellow Dog Linux」を含むTerra Soft Solutions社の全資産をフィックスターズが買収
図1 「Yellow Dog Linux」を含むTerra Soft Solutions社の全資産をフィックスターズが買収
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図2 2008年11月11日に開催した記者説明会で,買収の理由を説明するフィックスターズ 代表取締役社長 CEOの三木聡氏。「最初に話があったのは8月末のこと。それから約2カ月間で買収が完了した」
図2 2008年11月11日に開催した記者説明会で,買収の理由を説明するフィックスターズ 代表取締役社長 CEOの三木聡氏。「最初に話があったのは8月末のこと。それから約2カ月間で買収が完了した」
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図3 米国に設立した子会社であるFixstars Solutions社が事業と従業員を引き継ぐ
図3 米国に設立した子会社であるFixstars Solutions社が事業と従業員を引き継ぐ
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図4 これまで提供していなかったOSをラインナップに加えたことで,「Cell B.E.向けのソフトウエア一式を提供できるようになった」(三木氏)
図4 これまで提供していなかったOSをラインナップに加えたことで,「Cell B.E.向けのソフトウエア一式を提供できるようになった」(三木氏)
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 マイクロプロセサ「Cell Broadband Engine」(以下,Cell B.E.)向けのソフトウエアを開発するフィックスターズは,「Yellow Dog Linux」を提供する米Terra Soft Solutions, Inc.の全資産を買収したと発表した(発表資料図1図2)。2008年10月31日に買収手続きを完了した。買収金額は非公開。Terra Soft社の事業と従業員は,フィックスターズが米国に設立した子会社,米Fixstars Solutions Inc.が引き継ぎ,サポート業務やバージョンアップは従来と同様に行う(図3)。Terra Soft社のCEOであるKai Staats氏は,Fixstars Solutions社のCOOに就任した。

 Powerアーキテクチャ向けLinuxディストリビューションとしてYellow Dog Linuxを提供してきたTerra Soft社は,2006年に「プレイステーション 3」(PS3)に対応し,2007年にCell B.E.搭載ブレード型サーバー機「IBM BladeCenter QS 21」に対応するなど,Cell B.E.への対応を早い段階から進めてきた。またフィックスターズは,Cell B.E.を搭載するアクセラレータ・ボード「GigaAccel 180」の公式サポートOSとして「Yellow Dog Enterprise Linux for GigaAccel 180」を利用してきた。「これまでフィックスターズは,Cell B.E.向けソリューションとして,OS部分だけは持っていなかった。今回の買収により,OSを含めたソフトウエア全体を提供できるようになる」(フィックスターズ 代表取締役社長 CEOの三木聡氏,図4)。

 Terra Soft社の買収に伴う効果として三木氏が挙げたのが,国内企業に対するLinuxのサポート業務である。「組み込み分野では,オープンソースでサポートがないOSの利用をためらう企業も多い。また,Yellow Dog Linuxの場合,サポート付きのパッケージでも米国にサポートを依頼する必要があった。日本の企業が日本語でサポート業務を行う環境を整えることにより,Cell B.E.の組み込み分野での採用が広がると期待している」(三木氏)。また,Cell B.E.向けYellow Dog Linuxのカスタマイズ業務も行う。組み込み分野ではCell B.E.を搭載する専用基板の開発も進んでいるとし,これらの専用基板への対応作業を請け負うという。さらにYellow Dog Linuxの改良も視野に入れる。「例えば今のYellow Dog Linuxは(Cell B.E.が搭載するPowerアーキテクチャのCPUコア)PPEしか見えていない。(Cell B.E.が備えるSIMD演算コアである)SPEに処理を割り当てるスケジューラは我々が開発していた。このスケジューラをOSに取り込んで,PPEとSPEの資源を統合的に利用できるようにするといった改良も考えられる」(三木氏)という。