PR

調べもせずに資金提供とは

米国の大学に対する印象は。

中村氏  企業に似ていると思った。日本の大学と違って,企業の研究者が飛び込んでも違和感のない世界。大学の教授には,研究だけでなく金集めの才覚も要求される。たとえば,僕の給与は大学からは9カ月分しか出ない。残りの3カ月は自分で調達する必要がある。国や軍,企業が興味をもちそうなテーマを選び,研究資金を募る。そこから自分の3カ月分の給与や博士課程の学生を雇う費用を捻出する。資金調達の能力がなければ,優れた教授とはみなされません。

大学では同じ研究を続けるのですか。

中村氏  それはない。大学では論文を書かなくてはならないので,それには新しいテーマが必要になるでしょう。

それでは次のテーマは。

中村氏  まだちょっといえないな…(中略)…

「そりゃ,もったいないでぇ」

ご家族は転職を不安に思ってはいないのですか。

中村氏  転職を奨めたのはむしろ家族の方で,僕の頭に転職なんて発想はさらさらなかった。1年前,米国のある大学から転職の勧誘があったんです。それで家族に「米国の大学に来んかゆう話があるんやけど,断るで」って言ったら,娘たちから「お父さん,もったいないんちゃうか」と言われた。娘たちが米国に行きたいというなら本気で考えようかと,そのころから思うようになった。