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 WILLCOMコアモジュールフォーラム(WCMF)の組込Linux WGは,アットマークテクノが開発したパネル・コンピュータ開発キット「Armadillo-500 FX」を使い,米Google Inc.の携帯電話機向けプラットフォーム「Android」での音声通話をデモンストレーションした。2008年11月19~21日にパシフィコ横浜で開催されている「Embedded Technology 2008」で初めて公開したもの。これにより,音声通話を含むAndroid搭載携帯電話機の機能を,Armadillo-500 FXを使って再現できるようになった。

 Armadillo-500 FXは,ウィルコムの端末で利用する通信モジュール「W-SIM」のスロットを備えており,W-SIMを挿入することで通信を行える。WCFMは以前にも,Androidの評価版とPHS端末の開発用ボードを使って音声通話のデモを行ったことがあった。ただし,少し特殊な方法を使って音声通話を実現していたため,Androidの標準的な手順で通話を行うことはできなかった。今回のデモでは,組込Linux WGのメンバーであるアックスが開発したソフトウエアにより,Androidが標準で備える電話機能を利用できるようになった。

 アックスは,無線通信に必要なRIL(radio interface layer)のプログラムのうち,ハードウエア(W-SIM)を制御するプログラムを開発した。公開されているAndroidのソース・コードには,サンプル・コードとしてRILが含まれている。RILは,ソフトウエア側を制御する層とハードウエアを制御する層の大きく二つに分かれる。ソフトウエア側のRILは,ハードウエア側のRILとやりとりして,Androidが持つダイヤラーや電話帳,ショート・メッセージ・サービス(SMS)を利用できるようにする。一方,公開されているAndroidのソース・コードには,ハードウエア側のRILとしてGSM用のサンプル・コードしか含まれていない。このため,W-SIMを動作させるには,W-SIM用のハードウエア側のRILを作成する必要があった。アックスが開発したのはこの部分である。Androidのソース・コードが公開されたことで,サンプル・コードを参照できるようになり,初めてハードウエア側のRILの開発が可能になったという。

 W-SIM用のRILを実装したことで,Androidの標準機能を利用して電話の発信や受信を行えるようになった。また,W-SIMの内部に書き込まれた電話帳の内容をAndroidの電話帳に読み込ませることや,通話履歴の記録/参照も可能になった。AndroidのSMS機能でウィルコムのショート・メールであるライトメールの送受信を行うこともできるようになった。ただし,現状ではAndroidのSMSが2バイト文字に対応していないため,送受信できるのは英数字のみである。W-SIM内部の電話帳データの読み出しとAndroidへの転送,通話履歴の記録といった機能の開発は,組込Linux WGのメンバーである日本システム開発が担当した。

 現時点では,W-SIMによるデータ通信を実現するRILが未実装である。今後は,この部分の開発を進め,Androidネーティブの機能で音声通話とデータ通信の両方を行えるようにする予定だという。

 なお,開発したソフトウエアはWCMFの会員に配布予定だが,会員以外に配布するかどうかは未定。配布には何らかの条件を付ける見込みで,非会員に無制限に配布することはないとしている。

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