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 「新規性」こそが価値というモノや情報は,時間がたつことで陳腐化する。買っても買っても次々に陳腐化し,ゴミになっていく。(中略)情報化時代の次にくる時代を「脱情報化の時代」と呼ぶならば,この時代は「新規性」の反対,「継続性」こそが重要になるのではないか——

 今回のコラム・ランキングで1位になった記事は,米国の新政権が推進する「グリーン・ニューディール政策」によって,環境関連技術の開発競争が一気に激化する将来を予測しています。そうなったときに,ものづくりに携わるメーカーは,どのような方向を目指すべきなのか。現在のデジタル家電に代表される,短期間に次々と新製品を投入して売り抜けるような事業は,環境への負荷の観点からもはや成り立たないのではないか--そんなことを考えていたときに思い出したのが,昔関わった記事でした。今からちょうど17年前,日経エレクトロニクスの1992年1月6日号の特集「脱情報化時代のライフスタイルを探せ」。冒頭はその一節です。

 この記事を書いた後,時代は全く逆の方向に振れました。新しいものこそ正しいという価値観が,エレクトロニクス業界を中心に蔓延したのです。1992年当時は主にオフィス向けだったパソコンは,低価格化とマルチメディア機能の強化によって家庭にまで入り込み,インターネットの普及と相まって,マイクロプロセサの性能向上や記憶装置の容量拡大に対する爆発的な需要を生みました。その後に拡大した携帯電話機やデジタル家電の市場も,この価値観をさらに強化したといえるでしょう。冒頭の記事の言葉で表せば,「情報化時代」を究極まで押し進める動きが20年弱続いたわけです。

 最近になって,この価値観に陰りが見えたと思うのは筆者だけでしょうか。パソコン市場でいわゆる「NetBook」が大流行したり,Windows Vistaが出た後もWindows XPの人気が衰えないことなど,いくつか兆しがありそうです。ひょっとすると今年以降,17年前の予言が現実になるのかもしれません。

 記事を担当した3名の記者は,この17年間それぞれの道を歩みました。現在は奇しくもTech-On!の協力者として顔を揃えています。筆者と,コラム・ランキングに入った「直流給電に対する17年前の思いこみ」を書いた記者と,「技のココロ」の編集担当者です。今年は製造業にとって厳しい逆風が続きそうですが,トヨタ社長が語ったように「原点回帰してやるべきことをやる」しかないように思います。本年もよろしくお願い申し上げます。

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