開発を進める櫻井氏 写真は三精システムが撮影
開発を進める櫻井氏 写真は三精システムが撮影
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 DDR2型DRAM,LVDS,PCI-Expressなど,高速な信号を扱うFPGA搭載プリント回路基板の開発に携わるエンジニアが増えてきた。こうしたエンジニアを対象にしたセッションが「EDSFair 2009」に併催の「第16回FPGA/PLD Design Conference」(関連ページ)で行われる。

 同セッションのタイトルは、「FPGA高速I/Oを設計力で使いこなす~DDRメモリI/F,LVDS,PCI-Expressの設計ポイント~」(セッション5,1月23日(金)10:00am開始,パシフィコ横浜)である。講師は,高速基板設計を長く手がけてきた三精システムの櫻井剛氏(第1設計部 部長補佐)が務める。

民生・産業機器でも高速データ伝送が当たり前に

 かつて,高速データ伝送にかかわっていたのは,通信インフラ機器のエンジニアがほとんどだった。しかし,大きくて高精彩な映像・画像を扱うアプリケーションが増えてきたことで,今や,民生・産業分野の機器開発でも,高速データ伝送を使うことは当たり前になってきた。

 高速の基板設計では,デジタル回路として信号端子を接続するだけでは,適切に動作させるのは難しい。動かないボードを作ってしまい,頭を悩ましているエンジニアの話はよく聞く。トラブルを防ぐためには,「基板の回路設計,電源設計,パターン設計,およびFPGA論理回路設計などの各設計フェーズで,それぞれ押さえるべき設計のポイントがある」と櫻井氏はいう。

 これらのポイントを考慮して設計しておかないと,「動かなかった時に,何から手をつけたら良いかすら分からなくなってしまう」(同氏)。同氏は,「デバグ作業とは,各設計ポイントでやるべきことがやられているかを確認する作業だ」という。

FPGAで基板をシンプルに

 高速データ伝送が必要な応用分野の広がりと共に,それをサポートするLSIも増えている。FPGAもそうしたLSIの一つである。最近のFPGAは,65nmや40nmプロセスで製造されるようになり,高速化,高集積化,高機能化が加速している。

 例えば,他のLSIとの間で,1チャネルあたり数百Mビット/秒~数Gビット/秒のシリアル信号が伝送できるようになった。このため,多数の高速I/Oを備えるFPGAは,高速基板設計でキー・デバイスとなってきている。

 基板上で高速信号を確実に伝送させるためには,伝送線路のインピーダンス・マッチングは欠かせない。ただし初期の設計段階では,インピーダンスを確定するには,不確定要素が多すぎる。そこで,FPGAの再プログラム性を活用することが重要になる。例えば,設計初期に決められないパラメータは,デバグ段階で微調整する。

 FPGAを高速基板設計に生かすためには,「FPGAの高速I/Oの機能・内部構成をよく理解することが必要」と,櫻井氏は言う。また,FPGA内の論理回路設計でも工夫が要るとする。「論理回路構造を意識したHDLコーディングをすることは,ボード設計を成功させる第一歩。FPGAを最大限に活用することで,基板設計はシンプルになる。シンプルな設計ほど高速な基板には良い」(同氏)。

冗長回路でリスクを回避

 櫻井氏によれば,最近,LSIメーカー,基板メーカーが提供する設計ガイドラインで気を付ける必要のあるポイントが増えてきている,という。このため,すべての制約を守った設計は難しい。「どの制約をどれだけ守るかが,設計会社のノウハウ」(同氏)とする。

 FPGAはここ2,3年で大きく機能が向上してきたが,FPGAの新機能を使うことは,設計上のメリットが大きいものの,ある程度のリスクも伴う。「基板上に問題回避できる冗長な最小限の回路を持つことが必要」と櫻井氏は言う。