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NComputing社 Chairman and CEOのStephen Dukker氏
NComputing社 Chairman and CEOのStephen Dukker氏
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端末を30台まで接続した「Lシリーズ」のデモ
端末を30台まで接続した「Lシリーズ」のデモ
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Xシリーズに利用するパソコンと,端末(パソコンの上)
Xシリーズに利用するパソコンと,端末(パソコンの上)
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 米NComputing,Inc.は,2006年に1台70米ドルからのシン・クライアント端末と1台350米ドルからのパソコン・サーバー機を発売したメーカーである。同社はこの2年間で学校や途上国を中心に計120万台の端末を販売し,日本を含む世界に販路を拡大しつつある。同社のシン・クライアント・システムの特徴は1台のパソコン・サーバー機を10~30人で共用しても,「スピードはほとんど落ちない」(同社)という点。「2009 International CES」にブースを出展した同社のChairman兼CEOのStephen Dukker氏に,システムの特徴と技術的な背景を聞いた。(聞き手=野澤 哲生)

――システムの概要を一通り教えて欲しい

 我々の製品はXシリーズとLシリーズに分かれる。まず,Xシリーズは,小規模システム向けで,各ユーザーが使う1台70米ドルの端末と「vSpace」と呼ぶソフトウエア,そして,1台350米ドルのサーバー機用パソコンから成る。端末に接続するディスプレイはユーザーが別途購入することになる。このパソコンはデュアル・コアで2.4GHz動作のマイクロプロセサとメモリを1Gバイト分搭載している。1台のパソコンに端末は約10人まで同時に接続できる。パソコンと端末はハブやLANスイッチを介さず,直接接続する。

 一方,Lシリーズは約30人まで1台のパソコンに接続できるシステム。これはLANを介して1台149米ドルの端末と700米ドルのパソコンを結ぶ。パソコンは米Intel Corp.のクアッド・コア,2.4GHz動作のマイクロプロセサと3Gバイトのメモリを搭載している。

――OSなどのライセンスはどうなっているのか

 OSには米Microsoft Corp.のWindows Vista,同XP,同サーバー,およびLinuxなどが使える。Windowsなら学校で使う場合はClient Access License(CAL)というプログラムによって,1ユーザー当たり70米ドルでOSを利用できる。ビジネス用途の場合も大差ないコストで利用できる。もちろん,LinuxならOSのライセンス料は発生しない。

――このシン・クライアントは,仮想化技術で実現していると聞いたが

 その通り。vSpaceはそのためのソフトウエアだ。パソコンの資源をユーザーごとに仮想化技術で分割し,しかも各ユーザーがまるで専用のパソコンを使っているように資源を利用できる。

 従来の仮想化技術との違いはシステムの資源の利用効率が非常に高い点。例えば,今披露しているデモを見てもらえば分かるように,Xシリーズで10人のユーザーがそれぞれ異なる動画コンテンツを見ていても,サーバー側パソコンのCPU利用率は70%前後に留まる。Lシリーズで30人のユーザーをつないでいてもCPU利用率はほらこのとおり50%前後しかない。複数ユーザーが同じ表計算ソフトウエアの「Excel」を利用していても,メモリ空間は1コピー分しか使わない。このメモリ管理技術が我々の仮想化技術のコアになる部分だ。我々はこの仮想化技術の開発に8年かけた。

 この優れた技術は,大手サーバー機メーカーの著名な技術者が多数集まった優秀な開発チームによって実現した。具体的には,元・米Sun Microsystems,Inc.でJavaやSolarisを開発したBill Platt氏,元・米Advanced Micro Devices,Inc.(AMD社)でHyper-Transportの開発に携わったGabrielle Satori氏などだ。

――どのような市場がターゲットなのか

 これまで販売した120万端末のうち,約60%が学校だ。国・地域別では米国が40%,次にブラジル,インドといったところで,旧・東欧諸国なども多い。日本にも代理店がある。学校が多いのは,やはり低コストを評価してもらったためだろう。端末にはマイクロプロセサなどは搭載しておらず,消費電力は1Wと非常に小さくて環境にやさしい。しかも,時間が経っても陳腐化しない。サーバーとなるパソコンを2~3年ごとに高性能なものに更新しておけば,端末は10年以上使うことができる。この点も学校に評価された。

 サーバー側パソコンには,各ユーザーの画面を一覧できる機能がある。これを使えば,生徒がどんな画面を見ているか把握できる。ある特定の画面を強制的に別のユーザーに映し出すこともできる。授業にはとても便利だろう。

 我々のシステムは学校以外でも十分使えると思っている。さすがにゲームのヘビー・ユーザーや科学技術計算などには向かないが,一般的なビジネス用途なら問題がない。2009年5月には,いわゆる「クラウド・コンピューティング」を想定したシステムの発売も予定している。これは,端末も小型のパソコンになるだろう。