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参入相次ぐ静電容量

 これまで,機器メーカーにとってタッチ・センサと言えば,抵抗膜方式のタッチ・パネルを指すことが多かった。ようやく最近になって,その状況に変化が見られるようになった。

 通常の抵抗膜方式では対応できない多点検知ができる静電容量方式が,機器メーカーから熱い視線を浴びている。iPhoneの登場によって,「多点検知を応用すれば,魅力的なユーザー・インタフェースなどを開発できるかもしれない」と考える機器メーカーが急増したのである。

 静電容量方式には,検知の手法に応じて投影型と表面型の2種類がある。表面型はATMやアーケード・ゲーム機などの大型機器に搭載されている方式,投影型は携帯電話機などの携帯機器に搭載されている方式である。従来は静電容量方式のタッチ・パネルといえば,出荷台数からいって表面型を指す場合がほとんどだった。最近では,多点検知ができる投影型が携帯機器で採用を急速に伸ばしていくという見方も出てきた。

 例えば,富士キメラ総研によれば,2009年には携帯電話機で採用される静電容量方式の搭載数が,抵抗膜方式を追い抜くという(図5)。2009年時点での静電容量方式の搭載数は,2006年比約8倍の5000万個と,急成長すると同社はみている。

図5 携帯電話機向けで静電容量方式が抵抗膜方式を抜く 携帯電話機では,静電容量方式を搭載する例が急増している。富士キメラ総研の調査によれば,静電容量方式の携帯電話機向け出荷数量は,2007年に2350万個,金額ベースで37億5000万円になったという。携帯電話機の操作性の向上を図り,タッチ・センサの採用が増えたためである。2009年には静電容量方式が抵抗膜方式を追い抜くとみる。
図5 携帯電話機向けで静電容量方式が抵抗膜方式を抜く 携帯電話機では,静電容量方式を搭載する例が急増している。富士キメラ総研の調査によれば,静電容量方式の携帯電話機向け出荷数量は,2007年に2350万個,金額ベースで37億5000万円になったという。携帯電話機の操作性の向上を図り,タッチ・センサの採用が増えたためである。2009年には静電容量方式が抵抗膜方式を追い抜くとみる。 (画像のクリックで拡大)

 こうした市場の急成長を見込んで,抵抗膜方式のタッチ・パネルの大手メーカーが静電容量方式の生産を本格化している。抵抗膜方式の小型パネルでシェア第1位の日本写真印刷や,それに続くJTOUCH社などの台湾メーカーが,静電容量方式のパネルを増産する。

 例えば日本写真印刷は,同社の全生産能力の10%程度を静電容量方式向けに充てる。具体的には,2008年5月時点で,生産能力は3型換算で月産600万個であるのに対し,静電容量方式のパネルを同60万個生産する。また,JTOUCH社は,2008年末までに全生産能力の20%に相当する月産100万個(3.5型換算)にまで静電容量方式の生産個数を引き上げる予定だ注4)

注4) 日本写真印刷は,2008年5月に3型換算で月産600万個だったタッチ・パネル全体の生産能力を,2008年10月には月産950万個にまで引き上げる。JTOUCH社も生産規模を引き上げる。JTOUCH社は,3.5型換算で現在の月産450万個から2008年9 ~12月にかけて月産500万個に引き上げる計画だ。