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タッチ・センサ使いこなしの注意点


Cooper 社 Director of Interaction Design Dave Cronin氏


図B-1 タッチ・パネルとホイールを併用
航空機の座席にあるモニターにタッチ・パネルが付いている場合,パネルを強く押すと前に座っている人に振動が伝わり迷惑がかかる恐れがある。Cooper社はディスプレイの下部にホイールを取り付け,このホイールで一部のメニューを操作できる ようにした。

 タッチ・センサは決して打ち出の小づちではない。うまく使いこなさないと,機器のユーザーにメリットを与えることはできない。米国の代表的な工業デザイン会社であるCooper社とIDEO社に,タッチ・センサを採用する上での注意点などを聞いた。

 Cooper社 タッチ・パネルは人間の動作に近い直感的なユーザー・インタフェースを実現できる利点はあるが,逆に多くの欠点も持つ。例えば,多くの機能を盛り込みにくい。マウスの右クリックのように2次的なコマンドを呼び出す手法の導入が容易ではない。Apple社はiPhoneで,こうした理由からテキストのカット・アンド・ペースト機能の導入を避けた。

 さらにマウスと比較すると指の位置精度が低い。このため,タッチ・パネルを採用するアイコンを大きくする必要が出てくる。

 指が触れることによってディスプレイに残る指紋も問題だ。機器によっては,クリーナーを置く必要が出てくる。飛行機のエンターテインメント・システム向けモニターでは,乗客が前の席の背面に付いたモニターを操作する際に,その振動が前の席の乗客に伝わりイライラさせる可能性がある。このため,当社はエンターテインメント・システム向けのモニターには,メニューを操作する物理的なホイールを用意した(図B-1)。


IDEO社 Director of Technology Strategyの Dave Blakely氏


図B-2 タッチ・パネルでさまざまなユーザー・インタフェースに対応
Chumby Industries社の携帯情報端末「Chumby」は,ユーザーが好みのウィジェットのアプリケーションごとにユーザー・インタフェースを変更し,タッチ・パネルで操作する。

 タッチ・パネルは機械式のボタンと異なり,押した感触が得られない欠点もある。当社はかつて,この欠点を解決する技術である触覚フィードバックを試験・評価したことがあるが,現在のところ,費用対効果という面で満足できる技術は存在しない。 (談)

 IDEO社 タッチ・パネルを採用すれば,ソフトウエアを更新することによってユーザー・インタフェースを刷新するなど,新しい使い方を提供できる。ウィジェットに対応した携帯情報端末「Chumby」は,その一例だ(図B-2)。

 しかし,タッチ・パネルはどんな用途にも向いているわけではない。触ったときに押した感覚がないのは大きな欠点だ。「確実」であることを重視するビジネス用途では,確実に押したという感触が得られないことが採用の壁になる。

 これを解決する技術として,触覚フィードバックに期待している。携帯電話機およびゲーム機の市場における問題点を解決できる可能性があるため,大規模な研究開発投資を実践している。 (談)

―― 次回へ続く ――