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前回に引き続き,タッチ・センサの開発動向を追う。今回は,タッチ・センサ全般の共通課題である, 触覚へのフィードバックの無さや指で画面が隠れてしまう問題の解決手法を取り上げる。連載の目次はこちら(本記事は,『日経エレクトロニクス』,2008年6月2日号,pp.59-63から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

触覚フィードバック採用が進む

 こうしたタッチ・センサの方式ごとの課題が解決しつつある中,今後の技術開発の焦点は,タッチ・センサに共通する課題の解決に移行する。

 最大のポイントは「現実感の追求」である。タッチ・センサでは,機械式スイッチを押したときのような独特の操作感が得られない。例えば,UMPCを手掛ける韓国Wibrain社PresidentのJamesY.Yu氏は,「タッチ・パネルではキーボードを押したときのような感触を得られないことが,ユーザーからは不評だ」と話す。

 機器メーカーは,この課題を,触覚フィードバック技術をタッチ・センサと組み合わせることで解決できる。

 触覚フィードバックは,何らかの振動部品を使って,ユーザーが操作する際に振動を伝える技術である。3年以上前からゲーム機やリモコンなどに搭載されており,特段最新技術というわけではない。ただし,従来は搭載機器も少なく,触覚フィードバック技術の開発に携わる研究者も「少し時期が早すぎた」(触覚的なフィードバック技術などを研究するソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)インタラクションラボラトリー リサーチャーのIvan Poupyrev氏)とする。要は,用途拡大に苦戦していたのだ。

 ところが,ここに来てタッチ・センサを搭載した機器が急増してきたことで,良好な操作感が得られないことに対するユーザーの不満の声が大きくなる,と考える機器メーカーが増えてきた。触覚フィードバック技術が再び注目を集めているのは,このためである。

軽快なクリック感を与える

 操作時に単純な振動を起こして触覚をユーザーに伝える機能であれば,既に韓国Samsung Electronics Co., Ltd.や韓国LG Electronics Inc.の携帯電話機などに採用されている。ただし,これらは携帯電話機の偏心モータの振動を利用したもので,振動がワンパターン,押した個所だけでなく筐体全体が振動する,振動が緩慢といった理由から,「消費者の評価は高くない」(Wibrain社のYu氏)という。

 今後は,より現実の操作感に近いフィードバック技術の搭載が求められるだろう。既に技術はある。