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講演会の様子
講演会の様子
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 日本生物環境工学会 植物工場部会(SHITA)は2009年1月23日,植物工場に関する講演会「第19回SHITAシンポジウム」を東京都内で開催した。参加人数は約300人で,会場はほぼ満席となった。

 講演会では,完全制御型(閉鎖型)植物工場を手掛けるフェアリーエンジェル 代表取締役社長の江本謙次氏が,同社の最新工場「エンジェルファーム福井」の進捗について説明した。同工場は総工費15億円をかけ,2008年6月に福井県三方郡美浜町に建設したもので,完全制御型工場としては国内最大級とする(関連記事)。

 現在は蛍光灯を使った10段構造の野菜栽培装置を600坪のクリーン・ルームに多数設置し,レタスなどを1日に8000株生産できる体制にあるという。2009年夏までには1日1万株の生産が可能になる見通しである。他社に先駆けて大規模な植物工場の運用を手掛けることで,規模の経済による生産コストの削減を目指す。

 同工場では三菱化学およびシーシーエスと共同で,太陽電池とLED照明を組み合わせた植物栽培の実験も進めている。現状では太陽電池で発電できる電力量は18kWhと少なく,LED照明全体をまかなうことはできないものの,実験を通じてデータを収集し,将来的には有機薄膜太陽電池を利用した省エネ型の植物工場を目指す考えだ。

 一方,丸紅 ビジネスインキュベーション部 先端・新技術チーム 課長の藤原澄久氏は,「ヴェルデナイト」と呼ぶ人工土壌を使った植物工場の事業化について説明した。現在の植物工場は土を使わない水耕栽培がほとんどだが,ヴェルデナイトを使うことで有機肥料による栽培が可能になるほか,水耕栽培が難しいとされる根菜類なども生産できるとする。

 丸紅はヴェルデナイトの開発元であるヴェルデと共同で,多段式のテスト・プラントを神奈川県厚木市に建設し,2008年4月から栽培実験を進めてきた。既に葉菜類や根菜類,果菜類の栽培が可能なことを確認している。今後,事業化に向けてパートナ企業を募っていく。