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 米iSuppli Corp.は,DRAMメーカーのドイツQimonda AGが破産手続きを申請したこと(Tech-On!の関連記事)に関する分析を発表した(発表資料)。

 iSuppli社によれば,Qimondaブランドの製品が2008年第3四半期にDRAMの世界出荷数量に占めた割合は9.7%。ただし,Qimonda社のDRAMの一部は,台湾Inotera Memories, Inc.や台湾Winbond Electronics Corp.といった提携企業が生産しているため,Qimonda社自身が生産したDRAMの割合は,市場全体の5%程度という。

 Qimonda社が経営破綻した主な要因として,iSuppli社が挙げるのは世界経済の低迷とDRAM市況の悪化である。2007年以降,DRAMメーカーは,需要が減速しつつあるにも関わらず,生産能力の拡大に多額の投資を行ってきた。その結果,DRAM業界全体に打撃を与える供給過剰や価格の下落,市況の悪化を招いた。世界市場における単位容量当たりのDRAM価格は,2007年に51%,2008年には53%も下落した。iSuppli社の推計によれば,2008年のDRAMの世界売上高は対前年比19.8%減の252億米ドル。7%減少した2007年に続いて,2年連続して減少しているという。2009年もこの傾向は続く見込みで,DRAMの世界売上高は対前年比4.3%の減少と予測する。

 次いでiSuppli社が要因に挙げるのは,Qimonda社の製造プロセス技術と生産規模。過去数年間に渡って,Qimonda社は競争力の維持に重要な,生産規模や製造プロセス技術におけるリーダーシップを維持できなかったという。製造プロセス技術に関しては,2008年初めにトレンチ技術から「Buried Wordline(埋め込みワード線)」技術への変更を図ったが,埋め込みワード線技術はまだ立ち上がっておらず,競合メーカーに遅れをとったとする。生産規模では,Qimonda社は主要な競合メーカーと比べると,小さい工場しか所有しておらず,結果としてコスト構造が非常に高くなっているという。

 さらに,現金燃焼速度(cash-burn rates)が高いことも要因の一つという。Qimonda社は2008年6月末に,6億3000万ユーロの現金を保有していた。その時点では,台湾のDRAMメーカーよりはるかに保有する現金が多く,韓国Hynix Semiconductor Inc.やエルピーダメモリなどに迫っていたとiSuppli社はみる。ただし,Qimonda社はコスト構造が高いため,過去6カ月の間に他の競合メーカーの水準と比べて,現金燃焼速度が高くなったとiSuppli社は説明する。

Qimonda社の破綻は,短期的には供給過剰にほとんど影響なし

 今回のQimonda社の破綻は,短期的にはDRAM市場の供給過剰にほとんど影響を与えない,とiSuppli社はいう。Qimonda社が世界の生産量全体に占める割合が小さいためという。しかし,Qimonda社の破綻によって,2009年通年のビット換算によるDRAM出荷数量の伸び率は,30%未満におさまる見通し。これはiSuppli社の当初の予想値35%よりも低い。この供給量の伸びの鈍化は価格を安定させ,供給過剰による市況悪化を軽減する役割を果たすという。

 用途別に見ると,最も影響を受けるのはグラフィックス向けとサーバー向け。Qimonda社は2008年第3四半期に,コンピュータや消費者向けエレクトロニクス機器に使われるグラフィックス向けDRAMの世界出荷数量で26%のシェアを占めていた。サーバー向けのDRAM市場では15~20%のシェアを占めた。パソコン向けの主記憶市場では,シェアは10%以下にとどまっているため,この二つの影響が大きいという。