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 三菱電機の2008年10月~12月期決算は,純損益で赤字になった。売上高は前年同期比11.4%減の8079億4900万円,営業利益は同44.9%減の351億5400万円,純損失は283億3900万円である。持分法適用会社であるルネサス テクノロジの業績悪化が純損益に大きく響いた。

 発電機や変圧器などを扱う重電システム事業は増収増益を維持した。売上高は前年同期比2%増の2206億円,営業利益は同42%増の193億円である。国内外で発電事業が伸びているという。この分野は不況下でも特に需要の減退はみられず,2009年1月~3月期も堅調に推移する見通し。

 通信インフラや放送機器などを扱う情報通信システム事業も減収ながら増益だった。売上高は前年同期比7%減の1209億円,営業損益は黒字化して40億円となった。携帯電話機事業から撤退したことで(Tech-On!関連記事1),売り上げは落ち込んだものの,利益率は改善した。継続事業も堅調で,NTTドコモのNGN向け投資拡充を受けて,GE-PON関連の売り上げが拡大しているという。

執行役副社長の佐藤行弘氏
執行役副社長の佐藤行弘氏 (画像のクリックで拡大)

 白物家電やテレビなどを扱う家庭電器事業は減収減益。売上高が前年同期比10%減の2060億円,営業利益は同40%減の90億円だった。円高,欧州の一部地域でエアコンの売り上げが減ったこと,大手家電量販店の米Circuit City Stores,Inc.が倒産し(Tech-On!関連記事2),背面投射型テレビ関連の売掛債権の貸し倒れによる損失が出たことなどで業績が低迷した。液晶テレビ事業も低調だったが「当社は液晶テレビで全面戦争はしていない。パネルも外部調達。大きな設備投資もしてこなかったので,赤字を出しても傷は小さい。市場でのポジション維持のために必要な事業なので今後も継続する」(執行役副社長の佐藤行弘氏)という。

 FA機器や自動車向け電装品などを扱う産業メカトロニクス事業は,メーカーの投資抑制や自動車需要の落ち込みなど,不況の煽りを食うかたちで低迷した。売上高は前年同期比22%減の2002億円,営業利益は66%減の133億円。今現在も自動車向け需要やFA機器向け投資は停滞しているといい,一部の事業では2009年1月~3月期に営業損失を計上する見込み。ただし,通期では産業メカトロニクス事業として黒字を確保するとした。

 パワー半導体や光デバイスなどを扱う電子デバイス事業は赤字になった。売上高は前年同期比22%減の374億円,営業損失は21億円である。産業用機器向けの需要が落ち込み,受注が減っているという。

ルネサスの改善策,「これから検討」

 同社は円高の進行やルネサス テクノロジの業績悪化などを理由に,通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想を下方修正した。売上高は前回予想から3000億円引き下げて3兆6000億円(前年度比11.1%減),営業利益は1000億円引き下げて1200億円(同55.1%減),純利益は1100億円引き下げて100億円(同99.9%減)とした。

 ルネサス テクノロジが通期に計上する純損失2060億円のうち(Tech-On!関連記事3),45%に相当する927億円を三菱電機が負担する。「ルネサス テクノロジ,日立製作所,当社の3社で早急に収益改善策を考えなければならない。場当たり的なものではなく,長期的に利益を生む企業になるよう,しっかりとした事業戦略を持たなければ」(佐藤氏)としたが,改善策の内容については「話し合いを始めたところで,方向性も決まっていない」(同)という。

派遣社員を年明けまでに500人削減

 通期に巨額の赤字を見込む大手電機メーカー各社で,大規模な人員削減が進んでいるが,黒字確保の予想を掲げる三菱電機は「正社員を削減する予定はない」(佐藤氏)。ただし,2008年11月後半から2009年1月にかけて,全国で4500人抱えていた派遣社員のうち500人を削減したという。「FA機器や自動車向けなど,生産量の落ち込みが激しい一部工場で,解雇を含め,対応した。時間外勤務の削減や休業など,手を打って非正規の雇用もできるかぎり維持していきたい」(同)。

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