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図1◎「二酸化炭素排出削減オレフィン系樹脂」の外観。
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図2◎添加剤なしのポリエチレン・フィルム。
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図3◎超臨界逆相蒸発法の概要。
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図4◎リポソームの構造。
図4◎リポソームの構造。
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 東京理科大学理工学部工業化学科教授の阿部正彦氏と准教授の酒井秀樹氏の研究グループは,二酸化炭素(CO2)の排出量が通常のオレフィン系樹脂比で約75%少ない「CO2排出削減オレフィン系樹脂」を開発した(図1)。同大では,新開発の素材を原料とした袋類と樹脂を,同大発のベンチャーであるアクティブ(本社千葉県野田市)で製品化する計画だ。

 新開発のオレフィン系樹脂は,フィルムなどに加工しても透明性が低下することなく,通常のオレフィン樹脂と同じように扱える(図2)。そのため,買い物袋やゴミ袋,文房具,容器といったポリオレフィン系樹脂製品への応用が期待できるという。

 新開発の樹脂は,従来の研究成果である(1)強度を向上させた樹脂(2)金属ポルフィリンを添加した樹脂----をベースとする。(1)によって原料樹脂の使用量を約20%削減し,(2)によってCO2の排出を約40%抑制。さらに今回,「CO2削減ナノカプセル」を添加することで,CO2の排出を約15%削減した。なお,(2)の樹脂は,2007年にユニクロやampm,日本通運に,翌2008年にはヤマダ電機に採用されている。

 新しい樹脂の製造には,超臨界CO2の特性を活用した新技術「超臨界逆相蒸発法」を利用する。この技術は,有機溶媒と同様の物性を持つ超臨界CO2を溶媒としてナノサイズのカプセル(リポソーム)を調整するものだ(図3,4)。CO2削減効果のある物質(非公開)をカプセルの核として生成し,そのカプセルを添加することで,樹脂のCO2排出量を減らした。

 同研究グループによると,新しい樹脂を製造するための技術は応用範囲が広いという。例えば,ナノカプセルの核を紫外線吸収剤に変えることで,紫外線を吸収する透明樹脂を製造できる。ここで使う紫外線吸収剤は,通常は樹脂への分散性が低い無機物系の物質だが,新技術である超臨界逆相蒸発法を適用してナノカプセル化することで,分散性を高められる。一般に化粧品や包装材で使われている無機物系の紫外線吸収剤の添加量を1/10まで減らせる。紫外線のカット率はフィルムの厚さによって異なるが,90μmで約50%。