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前回は,磁気センサの市場動向と原理について説明した。今回は,デジタル出力の製品の動向を解説する。(1)パッケージ寸法,(2)感度バラつき,(3)S極やN極の両方の検知が可能かどうか,(4)機器への搭載のしやすさで比較した。連載の目次はこちら(本記事は,『日経エレクトロニクス』,2008年3月24日号,pp.91-94から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

0.35mmの薄型製品が登場

 市場で手に入る磁気センサは,デジタル出力の製品とアナログ出力の製品の2種類に大別できる。前者はセンサ素子と出力をデジタル化するICを1パッケージに収めたIC一体型となり,後者はセンサ素子のみをパッケージに内蔵する。現在,市場が急拡大しているのはIC一体型の製品である(表1)。

表1 主なメーカーのIC一体型磁気センサ製品 最も小型で低電圧駆動の製品を示した。Infineon社の「TLE5010 iGMR」以外はすべて量産品である。 
表1 主なメーカーのIC一体型磁気センサ製品 最も小型で低電圧駆動の製品を示した。Infineon社の「TLE5010 iGMR」以外はすべて量産品である。  (画像のクリックで拡大)

 IC一体型製品の選択のポイントは,大きく4点ある。(1)パッケージ寸法,(2)感度バラつき,(3)S極やN極の両方の検知が可能かどうか,(4)機器への搭載のしやすさ,などである。

 (1)のパッケージ寸法では,携帯電話機などに向けた薄型化や小型化の動きが活発だ。薄型化で先行しているのがNECである。アルプス電気やローム,旭化成エレクトロニクスなど他社の製品が0.5mm厚程度であるのに対して,NECの製品は0.35mm厚と薄い。「携帯電話機において開閉検知用のセンサは,他の部品配置が終わった後,残るすき間に入れることが多い。このため,小型で薄いことが重要になる」(NEC山梨の今野氏)。

 NECが0.35mm厚の製品を開発した理由も,「携帯電話機の中には夜間でもキーパッドが見えるようにパッドの裏に薄いLEDを配置した製品がある。この製品には,筐体とメイン基板の間にLEDの厚みに相当する0.4mmのすき間がある。磁気センサをここに入れるには,厚さを0.4mm未満にする必要があったため」という(同氏)。

図3 NECはウエハー上の積層技術で最薄ICを実現 NECは,寸法が1.6mm×1.0 mm×0.35mmのIC一体型磁気センサを開発した。NiFe系の材料から成る30nm厚のAMR素子膜をICの絶縁層 (SiON保護膜)の上に直接積層して実現した。
図3 NECはウエハー上の積層技術で最薄ICを実現 NECは,寸法が1.6mm×1.0 mm×0.35mmのIC一体型磁気センサを開発した。NiFe系の材料から成る30nm厚のAMR素子膜をICの絶縁層 (SiON保護膜)の上に直接積層して実現した。 (画像のクリックで拡大)

 NECは約20年前からバイポーラCMOS技術に基づくIC一体型のセンサ製品を供給している。携帯電話機向けのセンサ製品を出荷した2002年以降はCMOS技術と,IC上に30nm厚と非常に薄いAMR素子を直接積層する技術を組み合わせて,チップを段階的に小型化および薄型化してきた(図3)。

†AMR=anisotoropic magnetoresistive(異方性磁気抵抗)。磁界の強さだけでなく,磁界の方向に対しても抵抗値が変わる現象。例としてNiFe系合金などがある。ただし,これもS極とN極の区別はできない。

 ただし,NECのこの製品は,パッケージの占有面積が1.6mm×1.0mmと,それぞれ1.1mm×0.9mm,1.1mm×1.1mmのアルプス電気やロームの製品より,やや大きい。NECは近い将来,パッケージ寸法を1mm角に縮小する計画である。「現在の製品では0.8mm角のチップを用いているが,既に0.6mm角のチップを開発済み。これを使えば,パッケージ寸法を1mm角にできる」(今野氏)。

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