PR
前回は,デジタル出力のIC一体型磁気センサの製品動向を紹介した。今回は,車載向けの品種や,アナログ出力の製品を取り上げる。連載の目次はこちら(本記事は,『日経エレクトロニクス』,2008年3月24日号,pp.94-96から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

車載用の動作温度は最大150℃

 このように,現在手に入るIC一体型製品のほとんどは,携帯電話機や家電製品などに向けたものである。これに対して,Infineon社は,車載向けに特化した磁気センサ製品を数多く提供している。例えば,同社の「iGMR(integrated GMR)」シリーズである。従来,Infineon社の磁気センサ製品のほとんどはホール効果に基づくセンサだったが,2007年12月に同社として初めてGMR素子を用いた磁気センサを製品化した。現在サンプル出荷中である。

†GMR=giant magnetoresistive(巨大磁気抵抗)。強磁性の薄膜と非強磁性の薄膜を積層した素子に外部磁界を印加した際に,素子の電気抵抗率が大きく変化する現象。自由電子のスピンの向きと素子材料の磁化方向が外部磁界によって大きく変わることが原因である。HDD向け磁気ヘッドの多くに,この技術が用いられている。現象の発見者は,2007年のノーベル物理学賞を受賞した。

 車載向け製品では,動作不良が即事故に直結する恐れがあるため,品質や動作の信頼性に対する要求基準が携帯機器向けに比べて極めて厳しい。動作温度範囲の基準は-40~+150℃と,携帯機器向けの-40~+85℃に対して広い。

 Infineon社は「製造工程の各段階,特にパッケージを組み立てる後工程において,はんだなど材料の選択も含めて車載向けに最適化している」(インフィニオン テクノロジーズ ジャパン,オートモーティブ事業本部 マーケティング事業部長のTorsten Fischer氏)という。「耐久性のテストは,製品の動作温度範囲よりさらに高い170~180℃の条件下で長時間実施している。動作不良を起こす可能性がある製品は現時点で100万個に1~3個以下である。将来的には動作不良0ppmを目指す」(Fischer氏)と,品質最優先の姿勢を見せる。

 車載向け磁気センサの市場シェアは現在,Infineon社が50%以上を占めるとみられる注2)。最近は,アルプス電気やNEC,ロームなども同市場への参入を狙っているが,品質の要求基準の高さに対応し切れていないもようだ。

注2) ほかには,Allegro MicroSystems社などが車載向けに磁気センサ製品を提供している。

 iGMRは平均消費電流が15mAと,携帯機器向けの製品と比べて1000倍以上大きい。これは,磁気センサをオフにしている時間に対する,オンにしている時間の比(デューティ比)が30~70%と大きいためである。一方,携帯機器向けの製品では,磁気センサを50~100msに1度,数十μsという短い時間だけオンにする。これにより,デューティ比を0.1%前後に絞ることで平均消費電流を抑えている。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
日経電子版セット今なら2カ月無料