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 スズキは,2008年4月~12月の9カ月累計の業績を発表した。売上高は前年同期比9.5%減の2兆3347億円,営業利益は同43.2%減の665億円,純利益は同68.0%減の216億円である。全世界的な自動車需要の落ち込みと円高の進行により減収減益となった。同社は事業環境の悪化をふまえて通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想を,2008年10月に続いて再び下方修正した。売上高は前年度比14.3%減の3兆円,営業利益は同55.2%減の670億円,純利益は同72.6%減の220億円とする。

 同業他社が赤字を計上する中で,スズキは通期黒字を維持する。代表取締役の鈴木修氏は「(同業他社ほど業績が落ち込まなかったのは)たまたま。例えば,他社のように欧米などの先進市場に打って出られなかったから,しかたなくインドで事業を展開していたのが幸いした。インドでも2008年11月には売り上げが落ち込んだが,政府が適切な対策をしてくれて翌12月には市場が持ち直した。国内では当社は軽自動車を中心に事業展開しているが,軽自動車の市場は大きく落ち込まなかった。在庫も,ちょうど2007年から減らしていたところで,2007年12月末に比べて現在は600億円ほど減少した。ここまでは運がよかった。これからが経営の腕の見せどころ」と気を吐いた。

代表取締役の鈴木修氏
代表取締役の鈴木修氏 (画像のクリックで拡大)

 9カ月間の自動車の世界販売台数は前年同期比2.6%減の169万5000台だった。国内では同1.3%増の47万3000台,海外は同4.0%減の122万2000台。第4四半期(2009年1月~3月)は全体で同15.9%減の56万台となり,通期では前年比6.3%減の225万5000台になる見込み。

 スズキは需要減退に合わせて通期の生産台数を,2008年10月に発表した計画より15万台少ない246万9000台に修正する。これに伴って,工場勤務の従業員8000人のうち4000人を,間接部門の従業員8000人のうち6000人を一時帰休させるという。鈴木氏は「(2008年)10月から月を追うにしたがって需要が減った。底は(2009年)4月~6月期。ただし7月からすぐ上向くわけではなく,底の状態が続くだろう。うちは製造業だから,こういうときに現場だけが犠牲になってはいけない。役員も間接部門も含めてみんなで休み,みんなで犠牲になる。全従業員1万6000人,力を合わせてやっていくしかない」と話す。ただし,新モデルの立ち上げや環境分野の技術開発,需要が安定している一部車種の製造などに携わる従業員は一時帰休の対象から除外するとした。

年間4兆円の目標はいったん撤回

 スズキは業績予想の下方修正に加えて,年間売上高4兆円を目標に据えた中期経営計画を撤回する。「4年で2兆円から3兆5000億円まで伸びた。急激に伸びすぎて危ないなと思っていたところに,この不況だ。良い機会なのでこれまでの反省をこめて経費削減などをしっかりやっていきたい。『乾いたタオルを絞る』ようにして経費を削減せよ,という言葉があるが,うちはずぶずぶに濡れたタオル。これから乾いたタオル以上に絞り上げる」(鈴木氏)。損益分岐点を年間売上高2兆5000億円に引き下げるとし,コスト削減を図る。

 2008年10月時点で850人いた派遣社員は現時点でゼロになっており,現在110人いる期間従業員も2009年5月までに契約が満了する。設備投資も大型案件はすべて見送り,投資時期や規模について2009年度に再検討するとした。ただし,環境関連分野への研究開発投資は維持する。取締役専務役員 四輪技術本部長の中山隆志氏は「電気自動車とハイブリッド車に一点集中でやっていきたい」と述べた。2009年4月入社の新卒採用も従来の計画通り約1060人を予定している。