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キマンダ ジャパン 代表取締役社長の馬場久雄氏
キマンダ ジャパン 代表取締役社長の馬場久雄氏
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 キマンダ ジャパン 代表取締役社長の馬場久雄氏は2009年2月5日,親会社であるドイツのDRAM大手メーカーQimonda AGが事業再生手続きを申請したこと(関連記事)について,その経緯や現状を説明した。

――事業再生手続きの申請に至った経緯を教えてほしい。
 Qimonda社は2008年夏から独自に経営再建に取り組んできた。台湾Inotera Memories, Inc.の売却で得た資金を基にリストラ施策を進めていたものの,2008年末からDRAM市況がさらに悪化し,追加的な資金融資が必要になった。幸い,2008年12月にドイツのザクセン州,ポルトガルの金融機関,親会社のドイツInfineon Technologies AGから資金援助を受けられることになった(関連記事)。クリスマス前に大きなプレゼントのニュースが入った形だった。

 その後,ザクセン州と細かい契約の折衝を続けた。ザクセン州にはQimonda社のドレスデン工場があり,3000人以上の従業員が働いている。当然,2009年1月中旬には最終的な合意に至り,ポルトガルの金融機関などからも一斉に資金が入ってくると予想していた。ポルトガルの金融機関などは,ザクセン州が決断すれば一斉に融資を開始する予定だったからだ。ところが,ザクセン州との交渉は支払期日までに終わらなかった。交渉が決裂したわけではないが,細かい契約の折衝に予想以上に時間がかかってしまった。

 ドイツは日本以上に会社法が厳しく,少しでも支払いのメドがないと,裁判所に事業再生手続きの申請をしなくてはならない。Qimonda社は2009年1月23日にミュンヘン地方裁判所に事業再生手続きの申請を行った。同時に裁判所から保全管理人が指名され,資産の保全や今後の再生に向けた検討に入った。事業再生手続きの申請後も,事業は継続している。

――業績が悪化した要因の一つに,埋め込みワード線技術の遅れを指摘する声がある。
 それは違う。埋め込みワード線を使った最初の製品である65nm品は,開発が極めて順調に進み,量産も2008年9月と当初の予定よりも早く開始できた。しかも量産の立ち上がりから高い歩留まりを確保しており,過去経験したことがないほどの順調な滑り出しである。

 ただ,それ以前に手掛けていた80n~70nm世代のトレンチ型DRAMでは,競合他社に比べて微細化で後れを取っていた。80n~70nm品のコストの高さが業績を悪化させた面は確かに否定できない。その意味で,埋め込みワード線を使った65nm品をもっと早く出さなければならなかったといえるかもしれない。

――経営再建に向けてどう取り組むのか。
 再建に向け,米国リッチモンド工場の生産停止を決めた。約1500人の従業員が影響を受ける。これは,次の再建に向けて最も重要なテクノロジへの投資を,ドレスデンに集中させる狙いだ。ただ,企業の再建は,工場の閉鎖や人員の削減だけでは実現できない。最も重要なのはテクノロジだ。そのため,我々は6F2セルを採用した46nm世代の埋め込みワード線技術に力を入れている。既に予定よりも早く2008年末に開発が完了し,高い歩留まりを達成した。2009年半ばから量産を予定している。これが量産に入れば,おそらく業界最小のチップ面積を持つDRAMになるだろう。75nm世代のトレンチ品に比べてチップの取れ数は約3倍に増え,消費電力も75%削減できる。この製品に対してはユーザーも強い関心を示している(ニュース・リリース)。

 それと,事業を再生する上で欠かせないのは,売り上げを継続することだ。そのために現在,世界の販売拠点で通常通り営業をしている。事業再生手続きの申請を行った直後は,保全管理人が資産を評価するために一時的に出荷を止めていた。しかし,申請から数日後にはすべての出荷を再開した。工場の生産は申請後も一切止めていない。

――結論はいつ出るのか。
 保全管理人は,数カ月以内には何らかの結論を出すと言っている。現在は保全管理人とQimonda社の役員が世界中を回って経営再建に必要な資金について投資家と交渉している最中だ。まずは政府の公的資金を確保することが重要だろう。ザクセン州との交渉も完全に切れたわけではないし,ポルトガル政府も前向きに検討してくれている。そして,何らかの形で投資家を見つけなくてはならない。あるとすれば,Qimonda社の大口顧客からの投資を受けることになるのではないか。

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