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 シャープは,2008年度第3四半期(2008年10~12月)の連結決算を発表した。売上高は前年度同期比20.2%減の7351億円,営業利益は前年同期の519億円の黒字から158億円の赤字に転落した。営業利益の減額要因として,市場価格の下落が前年同期比で1755億円,為替変動で同195億円の影響があった。「全社でコストダウン対策を図ったが影響をカバーできなかった」(同社執行役員 経理本部長の大西徹夫氏)という。

 加えて特別損失として,投資有価証券の評価損を433億円,液晶工場の再編などの事業構造改革費用を217億円,米国における液晶パネルのカルテルによる独占禁止法関連の損失を120億円,合計770億円を計上した。この結果,第3四半期の純利益は前年同期の295億円の黒字から658億円の赤字となった。

全部門で営業損益が悪化

 部門別に見ると,液晶テレビや携帯電話機などのAV・通信機器部門は,売上高が前年度同期比18%減の3732億円,営業損益は223億円の赤字となった。同社の主力製品である液晶テレビは,販売数が前年同期比12%増の289万台と好調に推移したが,急激な価格下落と円高の影響があり,売上高は同19.6%減の2049億円となった。2008年通期の見込みを,販売数は同121%増の1000万台,売上高を同20.3%減の7300億円とし,2008年度上半期(4月~9月)連結決算から下方修正した(Tech-On!の関連記事1)。携帯電話機については,国内市場の低迷により,販売数が前年同期比28%減の260万台,売上高は同27%減の1153億円となった。通期では,販売数は同29%減の1070万台,売上高が同32.4%減の4400億円を見込む。

 白物家電で構成する健康・環境機器部門は,冷蔵庫が伸張したが,電子レンジが不調だったため,売上高が前年同期比17.6%減の490億円,営業利益は同27.2%減の5億円となった。情報機器部門は,複写機の売上が減少したため,売上高が前年同期比19.2%減の815億円,営業利益は同61.1減の32億円となった。

 電子部品関連では,液晶事業の売上高は前年同期比20.9%減の2426億円,営業利益は同77.4%減の55億円。携帯電話機向けなどの中小型液晶パネルの販売が減少したほか,テレビ用の大型液晶パネルの価格下落の影響が大きかったという。太陽電池事業は,「円高の影響はあったが,海外を中心に売上は伸張した」(シャープの大西氏)ため,売上高が前年同期比18.1%増の378億円となった。しかし,奈良県葛城市の薄膜Si型太陽電池工場の稼動に伴う費用の増加や,円高(特にユーロ安)の影響があり,営業損益は35億円の赤字となった。その他の電子デバイスでは,携帯電話市場の縮小の影響により,CCDやCMOSカメラ・モジュールなどの電子部品の販売が減少し,売上高は同25%減の724億円,営業損益は4億円の赤字となった。

通期予想は下方修正,売上高は3兆円以下を見込む

 シャープの業績を2008年度第1~3四半期(2008年4~12月)の連結決算で見ると,売上高は前年度同期比10.3%減の2兆2975億円,営業利益は同73.4%減の348億円,純利益は378億の赤字に転落した。これに伴い,2008年度通期の業績予想を下方修正することを明らかにした。

 下方修正の内容は,売上高が前年比25.1%減の2兆9000億円。2008年10月の業績予想は3兆4200億円だったため,5200億円下方修正した。営業損益は300億円の赤字,純利益は1000億円の赤字を見込む。純利益が赤字となるのは,「1950年以来」(シャープの大西氏)という。

四つの業績改善対策を実施

 シャープは今後の業績改善対策として,(1)液晶パネル工場の再編,(2)人員体制の見直し,(3)固定費・総経費削減,(4)新しいビジネス・モデルの構築,に取り組んでいくことを明らかにした。

 (1)の液晶パネル工場の再編は2008年12月に発表済みのもの(Tech-On!の関連記事2)。三重第1工場と天理工場の一部を閉鎖すると同時に,工場ごとの生産品種や画面寸法の最適化を図る。工場集約による収益の改善も図るとする。

 (2)の人員体制の見直しは,成長事業分野や営業・サービス部門の体制を強化することで,人員の配置転換を実施する。加えて,国内の非正規社員1500人の契約を延長しないことで,1500人の人員削減を見込む。これにより,「売上規模に応じた適正な人員体制の構築を図っていく」(シャープの大西氏)という。

 (3)については,固定費を1000億円,総経費を2000億円削減する計画を策定するという。これにより,「2008年下期の経営環境が続いても黒字化できる体制を目指す」(シャープの大西氏)とした。

 (4)については,生産ラインの前半工程の現地化や,現地企業とのアライアンス構築,投資額の最小化による投資効率の最大化とキャッシュ・フローの改善を図っていくとした。具体的な例として,太陽電池事業でのイタリアの電力会社Enel社との協業を挙げた(Tech-On!の関連記事3)。

 なお,これらの具体的な取り組みについては2009年2月下旬もしくは3月上旬に発表するとした。