Certicomのブース 日経BPが撮影。
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AMSの構造 Certicomのデータ。
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 製造コスト低減や市場への早期投入を狙い,半導体メーカーは世界各地に製造拠点を展開するようになった。これにつれて,半導体の製造や流通の過程で,知的財産や技術情報が漏洩しないように対策を打つことが重要になってきた。

 EDS Fair2009(パシフィコ横浜で1月22日と23日に開催)の「新興ベンダエリア」に出展したカナダCerticom Corp.は,設計や製造に関連した情報の機密を守り,偽造やクローンなどの不正や,リバース・エンジニアリングを防止する技術として,「AMS(Asset Management System)」を紹介した。

 AMSを利用すると,製造ライン名やウエーハの番号,ウエーハ上の座標などの情報をチップに埋め込める。これらの情報をワークステーションやLSIテスターなどを使って読み出すことで,チップを特定できる。

 AMSは階層構造を取っており,複数のモジュールからなる。モジュールのいくつかはIPコアとして供給されてチップに埋め込まれる。残りはワークステーションなどのコンピュータ上で稼働するソフトウェアである。AMSのベースとなる部分を「AMS platform」と呼ぶ。

 この部分は,チップに埋め込むIPコアの「Asset Control Core」と「Crypto Acceleration」と,ワークステーションで稼働するソフトウェアの「AMS Appliance」と「AMS Controller」,LSIテスターで稼働する「AMS Tester Agent」からなる。AMS platform上に複数の機能が載っている。これらの機能,すなわち「DieMaximizer」,「KeyInject」,「ChipActivator」,「SystemActivator」はIPコアとして提供される。

 DieMaximizerは製造工程でのチップのトラッキングを可能にして,トレーサビリティを確保する。このIPコアを使うことで,製造現場だけではなく,本社でもチップのトラッキングが可能になるという。

 また,KeyInjectは暗号鍵の管理などを行う。外部(Digital Contents Protectionなど)より購入した暗号鍵,あるいは自社で作成した暗号鍵を安全に管理し,複製を防止する形でチップに挿入する。暗号鍵やID情報などのチップ情報を自動的にトラッキングし,レポートすることが可能である。

プラットフォーム手法と組み合わせる

 AMSをPOA(Platform Oriented Architecture)と呼ばれるチップ開発手法と組み合わせることで,半導体メーカーとユーザー双方に対してメリットのある体制を築けることが期待される。POAでは単一チップの中に,あるアプリケーションに必要な全機能を1チップに集積しておく。不揮発性メモリーあるいは電子ヒューズを使って,機能の組み合わせ方を変更する。これで一つのチップ設計,一組のマスクで済ませながら,多種のチップを実現することができる。開発コストが削減され,また,在庫も一種類のデバイスですむため,運用コストも削減される。

 「AMS ChipActivator」と呼ぶIPコアをPOAチップに組み込んでおけば,特定の機能を使用許可/不可に設定することが可能になり(暗号認証も含めることが可能),多種なチップを実現できる。またAMS ChipActivatorと同等の機能を,ファームウェアやソフトウェアを含むシステム・レベルで実現するIPコアが「AMS System Activator」として用意されている。

 近年,自動車メーカーを中心に,末端の部品までトレーサビリティを確保することで,製品の品質を向上させようとする動きが活発になってきた。この動きは,今後,高信頼性を要求するすべての産業に拡大するだろう。半導体メーカーも,自社の製品の技術を保護し,信頼性を確保するために,AMSのような技術の導入を検討する時期にきている。