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報道陣からの質問に回答するCarlos Ghosn氏
報道陣からの質問に回答するCarlos Ghosn氏 (画像のクリックで拡大)

 日産自動車は2009年2月9日,2008年度第3四半期の連結決算(Tech-On!の関連記事)を発表した後,報道陣との質疑応答の中で,経営体制変更(Tech-On!の関連記事)に至った理由や人員削減の手段について明らかにした。以下,質疑応答を記す。日産自動車の回答者は,代表取締役会長兼社長でCEOのCarlos Ghosn氏である(一部,代表取締役でCOOの志賀俊之氏が回答)。

――さまざまなリストラ策を講じるが,来期(2009年度)の見通しはどうか。黒字を確保できるのか。

Ghosn氏:今日は(2008年度第3四半期の決算発表であって)2009年度のことについて話す機会ではないが,現時点で言っておきたいのは,我々は2009年度の業績が出てくるまで,ただ待っているわけではないということだ。我々は既に対策を講じ始めている。(今回発表した)改善策は2009年度に影響が出てくるものだ。

2009年度の大きな問題は,自動車市場がどうなるかということ。2007年度は(世界の全体需要は)6900万台だったが,これが2008年度は6200万台に落ち込み,2009年度の見通しは5500万台である。ただし,それ以下になる可能性もある。この数週間を見ると,5000万台レベルに近付いている状況だ。これだけ需要や為替レートが変動している中で,自動車メーカーが今予測を出すというのは非常に難しい。我々の目標は,2009年度にフリー・キャッシュ・フロー(純現金収支)をプラスにするということだ。

――資金調達についてだが,日本政府もようやく公的資金の活用や融資対策に動き出した。これらをどう活用していくのか。

Ghosn氏:資金調達における目標は,市場がどのような状況になっても円滑に資金を事業に回すということである。例えば,在庫を削減したり,設備投資を調整したり,売掛金・買掛金を調整したり,ノンコアの事業を売却したりすることで,キャッシュを生み出している。

もちろん,政府に対しても働き掛けを行っている。各国政府に対し,工業会などを通じて呼び掛けを行っている。現時点でも資金調達の計画はあるが,とはいえ,2009年度にどのような市場になるかは分からないので,さまざまな仮説を立てている。この4~5カ月を見た場合も,最悪のシナリオが現実のものになっている。円の水準も景気の減速も資金調達もそうだ。金融危機は(2008年)9月に起きたが,そもそもこの時期には解決されているべきだったが,解決されていない。全世界的に銀行は貸し付けをしてくれない。さらに金利のスプレッド(貸付金利と調達金利の差)が拡大している。もちろん政府は金利を引き下げているが,実感はない。自動車業界は,はるかに高い金利で資金を調達している。従って,会社を守らねばならない。

日本政府は正しい方向に向かっている。私自身,これまでの日本政府の対策を評価したい。現時点では,これら対策がすべて実行されることを願っている。そして,政府が引き続き,慎重に状況を把握し,業界をサポートすることを願っている。ほかの国々,例えば欧州ではフランスもドイツもイタリアも,自動車業界に手を差し伸べている。米国政府は,既にビッグスリーへの対策を講じているが,さらに対策は強化されるかもしれない。重要なことは,特に今の信用収縮を(政府に)改善してもらい,フェアな競争ができるようにしてもらうということだ。

――(2008年度通期の業績見通しの)下方修正を発表するタイミングをここまで伸ばした理由はなぜか。トヨタ自動車もホンダも2008年末に下方修正を発表している。

Ghosn氏:毎週状況が変わっている。対外的に何かを発表するときは問題をきちんと言わなければならない。では,新たな目標を設定する際には,熟慮を重ねる必要がある。我々のタイミングとしては,四半期というものがある。四半期ベースで状況を再評価するのが我々の戦略だ。他社には他社の戦略があるだろう。こういった状況,市場や為替レートや信用の変動が激しいので,慎重にものを言いたい。というのは,一つのことを言ってから後で変わってしまうかもしれないので。今後,市場がどうなるのかを予測するのは非常に難しい。2週間ごとに予測するというのは難しいので,それならあらかじめ用意されていたタイミングに従おうと思った。

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