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 富士通研究所は開催中のISSCC 2009で,77GHz帯のミリ波を利用した車載レーダ用送受信ICを90nm世代のCMOS技術で開発したと発表した。チップ寸法は1.2mm×2.4mmで,3mm角だった従来の同社製GaAsチップに比べてチップ寸法を小型化した。これによって,ベースバンドICや制御ICを含む1チップ化が可能になり,車載レーダの大幅なコストダウンにつながるという。

 富士通研によれば,これまでの77GHz帯の送受信ICの多くはGaAs製で,CMOS技術で製造したものは増幅器など要素回路があるだけだったという。CMOS技術を用いる際の課題は,基準信号を受信回路向けと送信回路向けの2系統に分ける信号分配回路が大きくなってしまうこと。「GaAsでは1.0mm×0.6mmで済んだ分配回路のチップ面積が,CMOS技術を用いた一般的な設計では2mm×1mmになるという試算だった」(富士通研)。

 同社は今回,この課題を,インダクタと伝送線路を組み合わせる設計にすることで解決し,80μm角の面積中に分配回路および差動信号回路を集積できたとする。具体的には,信号の分配はインダクタをベースにした相互誘導によって行い,その上で,伝送線路も一部用いるという設計である。

 この理由は,インダクタと伝送線路で位相のマッチングをするための移相の効果と設計精度に大きな違いがあるため。インダクタは移相量が大きく,小型化しやすいが,設計精度が低い。一方,伝送線路は設計精度は高いが,移相量が小さく小型化が難しい,という特性がある。富士通研は,両者を組み合わせることで,信号分配の機能と同時に移相量およびその設計精度を確保し,回路の小型化と設計精度の確保を両立させた。