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図1 回路
図1 回路
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図2 フィルタの特性
図2 フィルタの特性
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図3 パッケージ
図3 パッケージ
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 米California Micro Devices Corp.(CMD社)は,Siチップ上にスパイラル・コイルを2層積むことで低コスト化を進めたEMI(electro-magnetic interference)フィルタ「CM1693」のサンプル出荷を,2009年2月から開始する。ESD(electrostatic discharge,静電気放電)対策用のダイオードも内蔵している(耐圧±15kV)。

 コイルを積層することでチップ上での占有面積を抑え,低コスト化した。2層にすればインダクタンスLを大きくできるので,同じカットオフ周波数なら容量Cを低く抑えられる。このため,通過させる信号の波形鈍りを抑えやすい。π型の3ポール・フィルタ構成で,ロールオフ特性を良好にしたという(図1)。

 カットオフ周波数(-3dB)はバイアス電圧が1.5Vのとき標準320MHz,同0Vのとき標準240MHz。通過帯域の挿入損は標準1.2dB(3MHzのとき)。帯域800M~3GHzでの減衰量は35dB程度(図2)。

 用途として,携帯電話機やデジタル・カメラ,ノート・パソコンといった機器のEMI/ESD対策を想定している。これらに搭載するカメラ・モジュール/液晶ディスプレイ(LCD)パネル/メモリ・モジュールと,プロセサなどとの間のシリアル高速通信インタフェースのクロック/データ・ラインに挿入する。

 カメラ・モジュールの画素数を増やすと,信号の伝送速度が高くなり,信号伝送回路のクロック周波数も増大する。例えば,200万画素で24 MHz程度,320万画素で50M~75 MHz,500万画素以上で100 MHzになる場合があるという。「波形を崩さないためには,一般的にはカットオフ周波数を伝送する信号の周波数の3~5倍に設定することが望ましい。今回のフィルタの製品群(Praetorian III)のカットオフ周波数は,300M~400MHzに設定されている。これによって,信号については立ち上がりエッジがシャープなまま通せる。一方で,携帯電話機のキャリア(周波数800M~3GHz)は-35~-45dBで減衰できるので,信号との干渉を防ぐことができる。また,一つのフィルタで複数チャンネルを設けており,スキューを小さくしやすい」と同社日本支社のカルフォルニアマイクロデバイセス技術担当の小林久人氏は語る。

 「今回のようなフィルタを挿入することを前提に機器を設計することによって,EMI/ESDの問題が生じてから対策するというアプローチよりも開発期間を短縮できる」(小林氏)ともいう。

 量産は2009年4月から始める。チャネル数は4/6/8の3種。0.4mmピッチのμDFN(dual fine pitch no-lead)パッケージに封止する(図3)。サンプル価格は4チャンネル品が0.20米ドル, 8チャンネル品が0.28米ドル。