PR
開発した銀ペーストから成る配線をノズルでLEDアレイに直接描画している様子。配線の直径は約10μm。写真はUniversity of IllinoisのProfessor of Materials Science and EngineeringであるJennifer A. Lewis氏が提供。
開発した銀ペーストから成る配線をノズルでLEDアレイに直接描画している様子。配線の直径は約10μm。写真はUniversity of IllinoisのProfessor of Materials Science and EngineeringであるJennifer A. Lewis氏が提供。
[画像のクリックで拡大表示]

 米University of Illinoisの研究者らは,直径が最小2μmと非常に細く,ワイヤー・ボンディングのように3次元的な配線が可能で,しかも焼成後もフレキシブルな銀ペーストを開発した。フレキシブル基板上のICなどの配線,太陽電池やLEDアレイの配線などに最適とする。論文は,2009年2月12日付けの「Science Express」に掲載された。

 この銀ペーストの作製方法は以下の通り。まず,硝酸銀,ポリアクリル酸(PAA),そして還元剤のジエタノールアミンを室温下で混合する。すると,直径が約5nmの微細な銀粒子を含むペーストが得られる。これを60℃にまで加熱した後,エタノールを加えると,PAAでコートされた銀粒子が析出し凝固する。次に,遠心分離器にかけて銀粒子の含有率を70~85質量%にまで高める。最後に,同ペーストを細いノズルに通しても詰まらないよう,エチレン・グリコールを潤滑剤として加える。

 配線には3次元描画が可能で,しかも内径が漏斗のように次第に細くなるノズルを利用する。ペースト中には直径5~50nm,平均では直径20±5nmの銀粒子が含まれ,内径1~30μmのノズルを滑らかに通るという。それでいて,ノズルから空中にペーストを押し出しても精巧な飴細工のように形状を保つため,3次元的な配線も容易にできるという。ノズルの内径が1μmの場合,配線の直径は2μmになる。

 焼成は150℃~550℃の温度で行う。温度が高いほど短時間で電気抵抗を小さくできる。具体的には,焼成温度が250℃の場合は30分以下の時間で,電気抵抗率をバルクの銀の値である10-6Ωcmに近い5.2×10-5Ωcmにまで下げられるという。焼成温度が150℃と低い場合は,25時間以上焼成しても電気抵抗率は10-3Ωcm程度にしか小さくならない。ただし,これは導電性のある一般的な有機材料の電気抵抗率と同程度である。焼成温度が400℃を超えると,ペースト中の有機成分がほとんど失われ,配線のフレキシビリティが無くなる。

 配線の曲げに対する耐久性については,例えば,長さ1cm,断面の寸法が23μm×12μmの銀ペーストをポリイミド基板上に形成し,200℃で3時間焼成して作製した配線について調べた。具体的には,曲率半径±5mmの曲げを750回繰り返しても電気抵抗率に大きな変化はないという。ただし,曲げを1000回繰り返すと,電気抵抗率は,曲げを繰り返す前の値から2.66倍(曲げていない状態で比較)になった。