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図◎新開発の3層構造ナノフィラーを添加し,強靭化したポリ乳酸樹脂。
図◎新開発の3層構造ナノフィラーを添加し,強靭化したポリ乳酸樹脂。
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 NECは,ポリ乳酸樹脂を大幅に強靭(じん)化できる3層構造のナノフィラーを開発した(図)。ポリ乳酸樹脂の強度を保持しながら,破断までの伸び特性を2倍以上に高めたのが特徴。バイオプラスチック製の電子機器筐体の薄型化や落下耐久性向上を図れることから,同社は新技術の実用化を進める計画だ。

 新開発のナノフィラーは,弾性の高い酸化ケイ素系のコア,応力の緩和に有効なシリコーンゴムの中間層,ポリ乳酸などとの親和性に優れる表面の樹脂層の3層から成る。従来のナノフィラーは微粒子を複雑に表面処理するが,新開発のナノフィラーでは,特殊な有機ケイ素化合物の凝集と分子間の反応によって架橋化することで,3層構造を形成する。

 プラスチックの強度を向上させる方法として,ナノサイズの粘土鉱物や酸化ケイ素など無機物のナノフィラーをプラスチックに含有させたナノコンポジットの研究・開発が進んでいる。これらは,通常の数10μmのフィラーよりも少量で補強効果を得られる。しかし,筐体の落下耐久性などに直結する破断までの材料の伸び特性の改善などに課題が残っていた。

 プラスチックとナノフィラーの界面の親和性を高め,同時に応力緩和性を向上させれば,こうした補強効果を大幅に高められるが,これまでナノフィラーの表面にこれらの機能を持たせた例がない。加えて,実現には何種類もの表面処理剤を段階的に塗布する複雑な表面処理工程を要するため,実用化が難しかった。今回,架橋化によって複雑な表面処理工程を不要にした。

 新開発のナノフィラーは,ポリ乳酸に対して質量の5%を添加するだけで,強靭性を大幅に高められる。フィラー表面の樹脂層の構造を最適化すれば,ほかのプラスチックにも利用できる可能性があるという。

 なお,同社はこのナノフィラーを,2009年2月18~2月20日開催の「国際ナノテクノロジー総合展(nano tech 2009)」(東京ビッグサイト)に出展する予定。

連絡先:研究企画部 広報グループ
URLhttp://www.nec.co.jp/contact/