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「川崎国際環境技術展2009」が開幕
「川崎国際環境技術展2009」が開幕
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主催者挨拶をする実行委員会委員長,川崎市長の阿部孝夫氏
主催者挨拶をする実行委員会委員長,川崎市長の阿部孝夫氏
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廃プラスチックをアンモニア原料に再利用(昭和電工)
廃プラスチックをアンモニア原料に再利用(昭和電工)
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難再生古紙をトイレット・ペーパーにリサイクル(三栄レギュレータ)
難再生古紙をトイレット・ペーパーにリサイクル(三栄レギュレータ)
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使用済みPETボトルを,再びPETボトルに(ペットリファインテクノロジー)
使用済みPETボトルを,再びPETボトルに(ペットリファインテクノロジー)
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軽くて強い新素材「メラミックス」の展示(イスマン ジェイ)
軽くて強い新素材「メラミックス」の展示(イスマン ジェイ)
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自転車をこいで,泥水から飲料水を作る(日本ベーシック)
自転車をこいで,泥水から飲料水を作る(日本ベーシック)
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最高速度370km/時の電気自動車「Eliica」(慶応義塾大学 電気自動車研究室)
最高速度370km/時の電気自動車「Eliica」(慶応義塾大学 電気自動車研究室)
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 1960~1970年代の日本の高度経済成長を象徴する“重化学工業の発展”と引き替えに,大気汚染などの深刻な公害に苦しんだ経験を持つ工都・川崎。臨海部の工場からもうもうと排出される煙が,かつては街を暗く覆っていた。その川崎で,環境技術の国際展示会が2月17日に開幕した。

 川崎では1970年代以降,さまざまな対策によって大気の状態を大幅に改善することに成功している。大気中のSO2濃度は,40年前の1/10以下になった。大気の安定する冬場には,遠く富士山を望むこともできる。そして,このような公害克服の過程で集積してきた環境技術や,エネルギー有効活用などのノウハウが,「今や川崎市の一番の強みになっている」(実行委員会委員長,川崎市長の阿部孝夫氏)と言う。

アジアの国々が注目

 こうした川崎に集積する環境技術に熱い視線を送るのが,中国をはじめとするアジア地域の国々だ。急速な工業化が進むアジアでは,かつて川崎が経験してきた公害に,今まさに苦しんでいる国や地域が多い。公害対策に対する関心は高く,川崎が取り組んできたことを学ぼうと,「視察団がひっきりなしに訪れている」(川崎市 経済労働局 産業振興部長の伊藤和良氏)と言う。環境問題に対する意識も高い。中国国家主席の胡錦濤氏も2008年5月の訪日時に,川崎市のJFEグループのPETボトル・リサイクル工場を視察している。

 公害問題に取り組む過程で蓄積された,アジアの環境対策ニーズにすぐに応えられる環境技術。オイル・ショックなどの経験で蓄積された省エネ技術。市内に集積する研究機関から創出された最先端の環境技術。これらの技術を学びたいというアジアのニーズに応えるために,市内に集積する環境技術を一望できるようにしたのが,今回の「川崎国際環境技術展2009」(2月17日~18日,とどろきアリーナ)である。市内企業を中心に117団体119ブースが出展する。中国,韓国,ベトナム,マレーシアなど,海外から141人の来場を予定する。

 さらに今回の展示会では,単なる見本市ではなく,国際的なビジネス・マッチングの場を目指したとする。海外からの来場予定者には事前にアンケートを取り,名刺交換や商談の仲立ちをしたり,通訳を準備したりしている。また,体験型プログラムとして,市内企業の現地ツアーも企画したという。

 “ここに来れば環境技術を一望できる”というコンセプトの下,展示会場には,大企業から中小企業まで,そして最先端技術から今すぐ使える技術まで,さまざまな技術が一堂に集まった。以降では,今回の展示会を象徴するようなブースの展示内容を紹介する。

プラスチックや難再生古紙をリサイクル,PETボトルは再びもとの姿に

 川崎の臨海部には半径約1.5km内に先進的なリサイクル施設が集積している地区があり,これらの施設に関する展示があった。

 大企業の展示では,上述のJFEグループのリサイクル施設のほかに,昭和電工が廃プラスチックをアンモニア(NH3)原料に再利用する事業について展示していた。廃プラスチックを熱分解することで,アンモニア製造に必要な水素(H)を取り出す。このリサイクル施設は2003年から稼働している。195万トン/日の廃プラスチック処理能力は,世界最大規模であるという。

 一方,中小企業からの展示も目を引いた。カーボン紙付きの伝票,ビニール窓付きの封筒,段ボールに入ったままのオフィスの機密文書など,再利用しにくい“難再生古紙”のリサイクル事業について展示していたのが,三栄レギュレータである。難再生古紙を溶解し,精選できる独自の技術と設備を持ち,トイレット・ペーパーに再生できる。2003年から,このようなリサイクル工場を稼働させているという。

 使用済みPETボトルを,シャツやトレーにリサイクルするだけでなく,再びPETボトルとして再利用する事業について展示していたのが,ペットリファインテクノロジーである。PETボトルとして再利用するためには,従来のPETボトル用樹脂と同等の品質を実現しなければならず,技術障壁は高かった。同社は使用済みPETボトルを化学的に分解し,異物や色素を取り除いて高純度化できる量産技術を開発した。量産対応設備は2008年12月末に稼働したとする。現在は,2009年春の実用化を目指して,ユーザー評価を進めている。

ユニークな技術がたくさん

 鉄合金や特殊鋼に比べて強さが2倍,重さが40%という新素材「メラミックス」を展示していたのが,イスマン ジェイである。地球上に無尽蔵にある窒素(N)と低純度のシリコン(Si)を活用し,電気エネルギーを使わない独自の燃焼合成装置によって,素材合成を可能にした。軸受けの球などを試作しており,2009年内に販売したいとしている(Tech-On!関連記事1)。

 やはり電気エネルギーを使わずに,河川の泥水などから飲料水を作れる「モバイル ウォーター」を展示していたのが,日本ベーシックである。手回しポンプを回して河川やプールの水をくみ上げ,泥や鉄さび,残留塩素,細菌などを除去するフィルタに通すことで,飲料水を作り出す。自転車と組み合わせて,ペダルをこぐだけで飲料水を作り出せる製品も発売している。価格は,手回しポンプ型が35万円,自転車搭載型が55万円。主に災害時用として販売されているが,アフリカのウガンダでは河川からの飲み水造水に使われているという。

 大学発の最先端技術では,慶応義塾大学 電気自動車研究室の電気自動車「Eliica」の展示に人が集まっていた。Eliibaは,最高速度370km/時を達成して話題を集めた電気自動車である( Tech-On!関連記事2)。説明員に商品化時期を聞いたところ,「2015年ごろに商品化させたい」と意気込みを語ってくれた。

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