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THS4521を搭載した評価ボード。中央部の黒い部分が今回の差動アンプICである。
THS4521を搭載した評価ボード。中央部の黒い部分が今回の差動アンプICである。
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 米Texas Instruments Inc.(TI社)は,分解能24ビットまでの250kサンプル/秒といったA-D変換ICの駆動に向けた差動アンプIC「THS452xシリーズ」を発表した。チャネル当たりの消費電流は,無負荷時が標準1.14mA,シャットダウン時が同20μA。競合他社品と比べてそれぞれ約半分,1/20以下に抑えたという。入力電圧雑音は標準4.6nV/√Hzであり,この数値は競合他社品の半分以下とする。帯域幅は標準145MHz,スルー・レートは同490V/μsである。SiGe技術を利用する同社の半導体プロセス「BiCom3」を使い,さらに回路を工夫することで消費電力の低減と特性向上を両立したという。

 差動アンプを1回路備えた「THS4521」,同2回路の「THS4522」,同4回路の「THS4524」をラインアップする。競合他社品は「1回路入りのみであり,2回路や4回路を集積した品種は当社のみ」(日本テキサス・インスツルメンツ)と強調する。圧力計や流量計,地震計,心電計といった測定装置での使用を想定する。消費電力を小さく抑えていることから,このような測定装置で電池駆動する品種にも向くという。

 現在量産中であり,1000個購入時の単価はTHS4521が1.10米ドル(パッケージはMSOPとSOICの2種類),THS4522が1.85米ドル(同TSSOP),THS4524は3.15米ドル(同TSSOP)である。

A-D変換ICの特性,データシートの数値を上回る


 日本テキサス・インスツルメンツによれば,TI社が取り扱う逐次比較型やΔΣ型のA-D変換ICとTHS452xシリーズを組み合わせた使い方を提案していくという。従来,分解能24ビットまで,250kサンプル/秒までの同社のA-D変換ICを使うユーザーは,A-D変換ICを駆動する差動アンプ回路を個別部品で組んで利用していたという。今回,差動アンプ回路を1チップで実現することで,ユーザーによる回路設計の負担を軽減できるとする。さらに最小同相モード入力電圧を-0.1Vとしたことで,ユーザーは正負2電源あるいはプルアップ抵抗を用意する必要はない。

 加えて,THS452xシリーズをA-D変換ICと組み合わせると,A-D変換ICの特性をデータシートに掲載された数値以上に引き出せると主張する。例えば,1回路入りの差動アンプICであるTHS4521と,24ビットのΔΣ型A-D変換ICであるADS1278を組み合わせた場合,SFDR(Spurious free dynamic range)は114dBcである。ADS1278のデータシートでは109dBcだった。A-D変換ICのデータシートの数値は個別部品で組んだ差動アンプ回路で駆動したときのものである。同回路をIC化した方が雑音成分の少ない信号がA-D変換ICに入力されるため,A-D変換ICの特徴を引き出せるという。






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