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半導体技術を駆使するMEMSセンサは,センシング技術を大きく進化させました。小型化によって高性能,多機能,低コストなど多くのメリットが生まれました。既に,ゲーム機やデジタル・カメラ,パソコンのHDD,自動車などにMEMSセンサは幅広く利用されています。MEMSはセンシング技術にどのようなインパクトをもたらしたのかを整理し,MEMSセンサを利用したり開発したりするときの勘所を押さえます。それを踏まえて,MEMSセンサの今後の技術開発の方向性についても学びます。連載の目次はこちら(本記事は,『日経エレクトロニクス』,2008年4月7日号,「NEプラス」,pp.20-23から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

 MEMS(micro electro mechanical systems)技術を用いて作るセンサ(MEMSセンサ)が,さまざまな機器に搭載されるようになってきました。中には,米Apple,Inc.の携帯電話機「iPhone」や任天堂のゲーム機「Wii」に搭載されている3軸加速度センサのように,機器の商業的な成功を決定付けた機能を生み出した例も出てきています。

 MEMS技術は,半導体の集積回路を製造するための微細加工技術を応用したものです。フォトリソグラフィを用いて,マスク・パターンを転写して作ります。このため,たくさんの要素から成る素子や,複雑な構造を一括して作るのに適しています。しかも大量生産に向いた技術です。こうした特性を生かして,MEMSセンサは通信・情報のための電子機器に限らず,車載機器,家電機器,産業機器,医療・バイオ機器などの広い分野で使われています。

 車載機器は,センサに限らず,すべての電子部品にとって攻めるのが難しい応用分野です。性能,信頼性,量産性,コストなど,あらゆる面で厳しい要求が突き付けられます。こうした厳しい応用である車載機器の分野でもMEMSセンサの利用が広がっています。この事実こそ,センサ応用におけるMEMS技術の筋の良さを示すものです。

 また,MEMSセンサには,異なる機能のセンサや電子回路を集積化しやすいという特徴があります。この特徴が,今後ますます重要になります。センサが単なる情報の取り込みだけではなく,認識といった知的な処理を行うようになるからです。集積化は,こうしたセンサの進化を後押しします。

 ここでは,MEMS技術を用いたセンサの技術開発の方向性や,他のセンサに対する利点を,具体的な開発例を通じて解説します(図1表1)。加えて,実用化に向けた注意点も説明します。

図1 MEMSセンサの技術開発の方向性と応用の広がり
図1 MEMSセンサの技術開発の方向性と応用の広がり (画像のクリックで拡大)
表1 半導体集積回路とMEMSの技術面と事業面での比較
表1 半導体集積回路とMEMSの技術面と事業面での比較 (画像のクリックで拡大)