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図1◎プラスチック・リサイクルのフロー。新技術により,リサイクル量を拡大できる。
図1◎プラスチック・リサイクルのフロー。新技術により,リサイクル量を拡大できる。
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図2◎RoHS指令の対象物質を検知・除去する装置。X線ラインセンサとエアガンを組み合わせる。
図2◎RoHS指令の対象物質を検知・除去する装置。X線ラインセンサとエアガンを組み合わせる。
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 三菱電機は,使用済み家電製品のリサイクル工程で発生する混合破砕プラスチックからRoHSの指令対象物質を含むプラスチックを高速に検知して除去する技術を開発した。比重や帯電率によって選別する従来技術と新技術を組み合わせることで,RoHS指令に適合したプラスチック素材の回収量を,ポリスチレン(PS),アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)で約1.3倍に高められる。これにより,プラスチックのリサイクル量の拡大と高品位プラスチックの回収を両立できるという(図1)。

 同社の家電リサイクルプラントでは,目視による選別が比較的容易な単一素材のプラスチックを手で解体して取り出し,家電製品に再利用する「自己循環リサイクル」を実施している。手解体による回収・選別が難しい小さな部品や混合破砕プラスチックについては,比重や帯電率によって選別・回収する技術を開発(Tech-On!関連記事)。ポリプロピレン(PP)やPS,ABSの自己循環リサイクル量の拡大に取り組んでいる。

 リサイクル・プラスチックを家電製品に再利用するには,RoHS指令への対応が必須となる。混合破砕プラスチックを調査した結果,RoHS指令の対象物質である臭素系難燃剤を0.03質量%以上含むプラスチックが,PSやABSに混入する場合があった。これは,数質量%以上の臭素を含む難燃仕様のプラスチック破砕片が混在するためだ。一般にプラスチックの難燃効果を高めるには,数質量%以上の濃度で臭素系難燃剤を添加する。

 従来は,臭素系難燃剤を含むと比重が大きくなるプラスチックの性質を利用して,比重で選別する際に上限値を小さく設定することで基準濃度を満たしていた。しかし,この方法では回収量を増やすのが難しい。自己循環リサイクルを拡大するには,高速で自動的にRoHS指令対象物質を選別する技術が必要となっていた。

 同社は今回,臭素濃度を0.03質量%未満にする方法として,X線透過像方式を利用し,臭素濃度が1質量%以上の破砕片を高速に検知する技術を確立した。高濃度に臭素系難燃剤を含むプラスチックは,比重とともにX 線の吸収率も大きくなる。そこで,検出器にX 線ラインセンサを採用し,X 線透過像を基に臭素含有/非含有を識別することで,臭素系難燃剤を含むプラスチックを数百μsで検知する。この方法は,蛍光X線分析法に比べて検出処理速度を100倍以上に高められるため,量産レベルでの利用が可能という。

 さらに同社は,上記の検知技術に除去機構を加えた装置を開発した(図2)。同装置では,コンベヤ上を移動する破砕片のX 線透過像を取得。それを基に臭素を含有する破砕片の位置を検知し,エアガンで選択的に除去する。

 平均臭素濃度を0.1質量%に調整した模擬混合プラスチックを使って検証したところ,除去後の混合プラスチックの臭素濃度は0.01質量%以下で,RoHS指令の適合条件を満たすことが分かったという。

 同社は,これらの技術を2010年に家電製品リサイクルプラントの量産ラインに適用。これによって自己循環リサイクルを推進し,資源の有効活用による二酸化炭素排出量の低減や環境負荷の低減を進める計画だ。