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ドーナツ形状のセル
ドーナツ形状のセル (画像のクリックで拡大)

 日産自動車はSOFC(固体酸化物型燃料電池)を試作し、2009年2月18~20日に東京ビッグサイトで開催中の「nano tech 2009国際ナノテクノロジー総合展」のNEDOブースに展示した。将来、EV(電気自動車)の充電に使うのが目的。SOFCは効率は高いのだが起動が苦手。このためコージェネレーションには向くが自動車に向かないというのが定説で、自動車用燃料電池の本命はPEFC(固体高分子型燃料電池)とされてきた。すぐそばに展示してある産総研のSOFCとともに、クルマにSOFCを使おうという動きが表面化した。

 SOFCは使用温度が高く、頻繁に起動、停止はできないので、EVに大きめの充電容量を持たせる。どうしても電力が必要な状況になってから徐々に、しかも一気に“満タン”まで充電するので、起動、停止の頻度は最小限で済む。起動には15分程度かかるが、バッテリを監視し、充電が必要になる時期を予測して起動する。質量1t程度、モータ出力数十kWの車両を4kWのSOFCで充電する。

 燃料はインフラの心配のないガソリンや軽油とする。SOFCは、内部改質ができるため別体の改質器を使わないことが多いのだが、日産は改質器を使う。ただし、純粋なH2にしなくてはならないPEFCと違い、簡単な改質器で済むという。改質器の効率(生成ガスの発熱量/原料ガスの発熱量)は103%。水蒸気改質で加える水からHが入るため100%を超える。コージェネと違って排熱は利用しないのだが、燃料電池で発生した高温の水蒸気を改質に使うため熱の無駄は少ない。

 SOFC自体の効率は65~70%。ほかの損失を含め、充電器としての効率は50%になる。EVの車両効率が80%だから掛け算して総合効率は40%。2015年の「JC08」燃費で比較すると、1t車ではガソリン車の1.8倍、2t車だと2.5倍の効率になる。これはPEFCを大きく上回る。起動が苦手ということもあり、長時間走りっぱなしの商用車で、より有望ということになる。

 YSZ(イットリア安定化ジルコニア)の電解質をドーナツ型の大型セルとする。ドーナツ型では燃料を内側から供給して外側に排出することが多いが、日産は直径方向に仕切り板を置き、内側から供給した燃料を折り返して、その少し外側まで戻してから排出する。ドーナツの中央を貫通するように二重管のマニホールドがあり、その内側へ燃料を供給し、外側から燃料を排出する。空気極側はセルと同じ面に沿って真っ直ぐ流す。

 セルを5段重ねたスタックを試作し、H2燃料で54Wのグロス出力を確認した。出力密度にして0.37kW/Lに相当する。室温から60分で600℃に達し、1kW/Lを30分間という重負荷運転をしても壊れなかった。

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