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図◎食品・農林水産・医薬品分野でのマシンビジョン市場規模の推移
図◎食品・農林水産・医薬品分野でのマシンビジョン市場規模の推移
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 矢野経済研究所は,FAカメラとマシンビジョンの市場調査を実施した。同調査は,FAカメラメーカー約10社とマシンビジョンメーカー約100社を対象として,2008年8月~2009年1月に実施したもの。同社の専門研究員による直接面談と,電話・ファクシミリによるヒアリングを併用した。

 これまでマシンビジョン市場は,半導体や電子部品,液晶,自動車といった産業分野を中心として市場を拡大させてきた。しかし,こうした産業が低迷していることから,マシンビジョン市場も厳しい状況となっている。例えば,ここ数年マシンビジョン市場をけん引してきた液晶分野は,2008年に成長が鈍化。自動車分野は世界的な金融危機の影響を受け,国内外ともに需要が減っている。

 これらに代わる新しい主要分野として期待できるのが,食品と農林水産,医薬品の各分野。食品用途では前年比2.1%増の1428台,農林水産用途では同0.7%増の1400台と,ほぼ横ばいだが,医薬品用途では同17.3%増の203台となっている(図)。

 食への安心・安全への関心が高まる中,食品分野では飲料の液中異物検査や缶の外観検査などへの,農林水産分野では野菜・果物選別への導入拡大が期待できるという。農林水産分野の最大の用途は,穀物の選別だ。これまで精米所で使用していた大型選別機に加え,農家や米店,飲食店で使用する小型の選別機の出荷台数が伸長した。また野菜・果物市場では,地域の農業協同組合が選別機を導入するケースがほどんどだった。しかし,大手流通業がプライベートブランドの野菜や果物を増やしており,それに伴ってマシンビジョンの導入も増える,との予想だ。

 医薬品分野の出荷台数が増えている理由の一つは,錠剤やカプセル剤を包むシート(PTP:Press Through Package)製造装置向けが増えていること。この背景には,錠剤の製造量が増え,打錠機の台数も増加したことが挙げられる。今後は,ドリンク剤や凍結乾燥剤の検査システムの成長も見込める。安全性確保のために複数のカメラやマシンビジョンが必要であり,今後も成長が予想される。

 さらに今後は,リサイクルなどの環境関連や次世代エネルギ分野でマシンビジョンの需要増が期待できるという。例えば,穀物の選別システムでは自由落下で対象物を撮影し,異物を除去する。この技術をリサイクル分野に転用した,プラスチックの選別機器が出始めているという。さらに,選別システムに画像処理機能を組み合わせたリサイクルシステムもある。今後,こうした需要が高まる見通しだ。

 太陽電池やリチウムイオン2次電池,燃料電池,有機ELなどの製造ライン向けには,液晶パネルやフィルム,ガラス向けの従来技術を転用できる。太陽電池パネルの製造工程では,位置決めや検査などで1工程に複数のマシンビジョンを導入する可能性が高いという。

 自動車製造ライン向けでは,検査の自動化が進めば,市場が拡大する可能性がある。エンジンの場合は,1工程につき50~60の検査ポイントがある。これらの検査にマシンビジョンが採用されれば,市場が拡大する。