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図1◎部材の曲率半径と部材同士の間隔をパラメータとするシミュレーション結果。赤色の部分で挟み込みの危険性が高く,報告された挟み込み事故はすべて赤色の領域で発生していた。
図1◎部材の曲率半径と部材同士の間隔をパラメータとするシミュレーション結果。赤色の部分で挟み込みの危険性が高く,報告された挟み込み事故はすべて赤色の領域で発生していた。
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図◎アプリカの製品。部材同士を離し,部材を丸める例だ。
図◎アプリカの製品。部材同士を離し,部材を丸める例だ。
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図3◎上は,ヒンジ部分を丸めることですき間を広げる例。下は,部材を曲げて段差を作る例。いずれも,コンビの製品だ。
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図4◎コンビの製品。車輪同士の間隔が狭いため,このすき間に車両のドアが入り込む恐れがない。
図4◎コンビの製品。車輪同士の間隔が狭いため,このすき間に車両のドアが入り込む恐れがない。
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図5◎列車ドア検知試験。
図5◎列車ドア検知試験。
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 製品安全協会と全国ベビー&シルバー用品連合会は2009年3月2日,折り畳み式ベビーカーの新安全基準を公表した(「日経ものづくり」2008年9月号に関連記事)。新基準では,(1)折り畳み時の幼児の手指挟み事故への対策(2)公共交通機関での安全な利用(3)走行衝撃振動試験の強化(4)欧米規格との整合を踏まえた適用対象の見直し----を実施している。同年6月に改正の手続きを開始し,夏ごろには新基準の製品が販売される見通し。12月ごろからは,新基準に適合しない製品には「SGマーク」が付与されなくなる。

 今回の基準改正のきっかけとなったのは,2007年と2008年に,全国ベビー&シルバー用品連合会に国民生活センターから折り畳み式ベビーカーの安全性に関する要望が出されたことだ。同センターには,ベビーカーの開閉時に幼児がすき間に手指を挟むという事故が3件報告されていた。それとは別に,ベビーカーの車輪が列車のドアに挟まれて引きずられるという事故も起きていた。そこで同協会などは,これらを併せて基準の改正を検討。その結果,上記の(1)~(4)の観点から改正することになった。

 (1)については「折り畳み部位での折り畳み危険をゼロにすることはできない」との結論に達した。対策としては「折り畳みの部分をなくす」ことを目指し,残る部位では「傷害のリスクを最小限にする機構に」することとした。具体的な数値を決めるに当たっては,産業技術総合研究所の協力によりシミュレーションを実施(図1)。曲率半径を2mmにすれば,製品の機能を損なうことなく安全性を高められる。さらに部材間を離すことで,傷害リスクを低減できるという。

 この基準への対応としては,パイプの形状を丸くしたりパイプ同士の間隔を広げたりすることが考えられる(図2)。そのほかには,ヒンジ部分を丸くしたりすき間に段差を設けたりしてすき間を広くする,といった方法もある(図3)。

 (2)では,部材の太さを35mm以上にすることで,列車ドアのセンサが確実に折り畳みを検知できる。対応としては,車輪を太くする,車輪の間隔を狭める,といった措置が挙げられる(図4)。(3)は,使用によって生じるねじ緩みへの対策だ。従来に比べて試験時間を延長することで,ハンドル根元の強度について信頼性が高まる。

 現在,ベビーカーの安全基準は各国がそれぞれに制定しており,国際規格がない。そこで,各国の安全基準と整合しながら,消費者がニーズに合わせて製品を選べるように(4)を設定した。旧基準の適用範囲は24月(生後24カ月)向けまでだったが,新基準では最大48月(同48カ月)を対象としている。適用範囲の拡大に伴い,新たに36月(同36カ月)のダミーを採用する。

 なお,旧/新基準の比較は次頁の通りだ。