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講演する長谷川氏
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記録メディアの世界需要の推移
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次世代光ディスク(Blu-ray Disc)の需要予測
次世代光ディスク(Blu-ray Disc)の需要予測
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 「環境の視点で見るとBlu-ray Discなどの光ディスクはアーカイブでの利用が期待できる」---。パナソニック AVCネットワーク社 デバイス事業グループ メディアビジネスユニット 技術グループ グループマネジャーの長谷川博幸氏は,2009年3月10日に開催された日本記録メディア工業会主催のセミナー「デジタルアーカイブの現状と光ディスクの役割」において,「光ディスクの現状と将来」と題する講演を行った。

 長谷川氏によれば,Blu-ray Discなどの光ディスクはHDDや磁気テープといった他の記録メディアと比べて,非接触記録再生やリムーバブル性,ランダムアクセスが可能なこと,長寿命などで利点を持つという。また,デメリットといわれている容量やスループットも,コストや単位体積/単位重量当たりで見た場合には,それほど遜色はないとする。さらに,製品ライフサイクルにおけるCO2排出量や総保有コスト(Total Cost of Ownership:TCO)が他の記録メディアと比べて有利なことから,記録する情報が爆発的に増加している現状では,アーカイブ用途での利用が期待できるという。

 アーカイブに使った場合,光ディスクはアクセス速度やビット・コストで劣る。しかし,現在アーカイブに記録されるデータの多くは構造化されていないデータで,このうちの8割は頻繁に取り出されることのない固定化されたデータと長谷川氏は説明する。このため,環境という視点から見ると,光ディスクは固定化されたデータの長期保存に向くとする。今後のストレージの評価指標には,従来の性能やコストだけでなく,環境という軸が欠かせないと長谷川氏は説明した。

 加えて,長谷川氏は光ディスク市場の動向についても説明した。2000年以降,磁気メディアから急速に置き換わった光ディスクは,記録メディアの世界需要の中で最も大きな割合を占めている。2008年のCD-Rの世界需要は約70億枚,記録型DVDの需要は約60億枚。光ディスク全体のピーク需要は,130億枚を上回る。フロッピーディスクやオーディオ・テープといった磁気メディアの過去のピーク需要と比べても,その需要ははるかに大きく,「光ディスクはまれに見る成功を収めた記録メディアといえる」という。

 光ディスクの需要がここまでで大きくなった背景には,磁気メディアなどに比べて用途が多様なことや,ハードウエアおよび記録メディアの価格が急速に下落したことがあるとする。今後,光ディスク産業の発展を左右するとみられる,Blu-ray Discなどの次世代光ディスクの需要は,2007年くらいから徐々に伸び始めており,2008年の世界需要は2000万枚。経済状況の悪化によって下振れする可能性はあるものの,2009年には6000万枚を超え,2011年には2億5000万枚を突破すると予測する。2008年時点では世界需要の8割を日本が占めており,「海外需要が日本と同じレベルで立ち上がるのは2011年の見込み」と長谷川氏は話した。

 国内で次世代光ディスクの需要が拡大したのは,ディスク1枚当たりの価格の下落によるという。25Gバイトの次世代光ディスク1枚当たりの価格は,2008年1月から2009年1月までに約1/3程度まで値下がりした。「一般に,記録メディアの価格がハードウエアの価格の1/100にならないと,その記録メディアや規格は普及しないと言われてきたが,国内状況を見る限り,次世代光ディスクは2008年にこの条件をクリアしたといえる」と長谷川氏は指摘する。ただし,現在のBlu-ray Discの用途は,HDTV映像の放送の録画がほとんど。Blu-ray Discが大きく普及するには,これ以外の用途が出現することや,Blu-ray Disc録画機などが世界で受け入れられることが必要とする。