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 「2009年は,中小型パネルを搭載するほとんどの製品の需要が前年を下回る」---。テクノ・システム・リサーチの岸川弘氏は,2009年3月11日に開催した同社主催のセミナー「2009年中小型FPD製品の注目市場/次世代新技術動向」において,「中小型FPDの業界市場総論」と題する講演を行った。

 世界経済の後退を受け,中小型パネルを搭載する製品は,厳しい市況に直面すると岸川氏は予測する。テクノ・システム・リサーチは2008年に,「2009年の中小型パネル搭載製品の需要は前年比でわずかに伸びる」との予測を発表していたが,この予想を下方修正した。最大の需要を占める携帯電話機は,2009年に対前年比10.2%減の10億7700万台となる見通し。最も落ち込みが大きいのは,携帯型DVDプレーヤーとデジタル・フォト・フレームで,それぞれ同26.8%減の1108万台,同31.5%減の1193万台と予測する。ただし,これらの需要減を相殺する形で,いわゆる「ミニ・ノートPC」の需要が拡大するという。同社が予測するミニ・ノートPCの需要は,同83.3%増の2200万台である。

 中小型パネル搭載製品の需要が減少した結果,パネルの需要は落ち込み,パネル・メーカーは生産拠点の統廃合を行っている。前工程では旧世代の製造ラインを閉鎖,後工程では外注比率を減少させ,自社工場の稼働率の向上を図っているという。メーカー別の液晶パネルの生産ラインの稼働率を見ると,国内メーカーの稼働率は比較的高いものの,韓国や台湾のメーカーの落ち込みは大きい。ただし,最近は大幅なウォン安が続いているため,韓国メーカーに注文が集中しているという。特に,2009年2月以降はセット,パネル共に増産傾向で,一部のメーカーでは2009年3月の第1週にフル稼働になったとする。また,2009年2月以降,中国向けの携帯電話機用半完成品の需要に回復の兆しが見られたため,一部の台湾および韓国メーカーは製造ラインの稼働率が上昇したという。

2009年のアクティブ・マトリクス型有機ELパネルは前年比2.5倍に

 有機ELパネルの中小型市場を見ると,アクティブ・マトリクス型の生産量は2009年も大幅に増加する見通し。2009年の世界生産量は,対前年比164%増の1951万枚と予測する。このうち,携帯電話機のメイン・ディスプレイ向けは同169%増の1644万枚,携帯型メディア・プレーヤー向けは同190%増の227万枚。2008年の携帯電話機のメイン・ディスプレイ向けは,KDDIなどの積極的な採用によって,日本市場向けが牽引したものの,2009年の日本市場向けは落ち込む見通し。しかし,2009年は,フィンランドNokia Corp.や韓国Samsung Electronics Co., Ltd.といった海外の携帯端末メーカーが積極的に採用する予定で,海外市場向けの生産が大幅に拡大する見込みという。メーカー別のシェアを見ると,2008年は韓国Samsung SDI Co., Ltd.が84%と圧倒的なシェアを占めた。2009年もこの状況は続く見通し。ただし,2009年10月に量産開始を計画している東芝松下ディスプレイテクノロジーや韓国LG Display Co., Ltd.の市場拡大が注目されるとする。

 一方,パッシブ・マトリクス型の市場は縮小傾向。2008年の生産量は前年比4%減の7574万枚だったが,2009年も同17%減の6294万枚で,減少が続く見込みである。同市場は,携帯電話機のサブ・ディスプレイ向けが主要な用途。2008年は日本の携帯端末向けが多くを占めたが,2009年は日本における携帯端末の販売台数減少によって,この需要が減少するとみる。2009年のサブ・ディスプレイ向けの生産量は,同20%減の3424万枚の見通し。次いで大きな市場を占める携帯型音楽プレーヤー向けも,同20%減の1337万枚の見込み。動画再生機能の普及によって,TFT液晶パネルの採用が進んでいることが,生産量減少の一因という。