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 米IBM Corp.は,環境技術に関する特許の開放に取り組む「Eco-Patent Commons」に,リコーと大成建設が参加したと発表した(発表資料)。今回の参加に伴い,両社はそれぞれ特許を開放している。

 Eco-Patent Commonsは,持続可能な開発を推進するWorld Business Council for Sustainable Development(WBCSD:世界経済人会議)やIBM社,フィンランドNokia Corp.,米Pitney Bowes Inc.,ソニーが協力して2008年1月に設立した(Tech-On!の関連記事)。参加する企業らは,自らの裁量で環境技術に関する特許を開放し,公開された特許は環境保全を目的とすることを条件に,誰でも自由に活用することが可能になる。これによって,研究者や企業,起業家による環境に配慮した製品やサービスの創出・開発などを促進することを狙っている。2008年9月には,ドイツRobert Bosch社,米DuPont社,米Xerox社が参加した(同2)。

 今回リコーが開放した特許は,コピーやプリンターといった機器に使用する着脱式カートリッジの廃棄量を効果的に減らす技術に関するもの。カートリッジの使用回数を計測し,使用回数が過ぎている場合にはユーザーに警告を発する技術で,カートリッジを安全に再利用することが可能になるとする。

 大成建設が開放した特許は2件。2件とも水質向上に関するもので,1件は河川や池,湖沼などの水辺の開発時に特殊なブロックを設置して水質を向上させる技術という。同技術では,水に囲まれた人口緑地を構築する際,多孔質の透水性コンクリート・ブロックを人口緑地の地盤上に,水際に沿って積み重ねる。これによって,多孔質ブロックの穴に生息する微生物が環境汚染物質を分解し,水質を向上させる。もう1件の特許は,湖や貯水池といった水深の浅い水域で効率的に循環させて,水を浄化する技術に関するもの。水底を掘削して設置した筒に空気を送り込んで気泡を発生させ,水の循環流を強制的に起こすことによって,水の自浄効果を促進する。

 既にEco-Patent CommonsのメンバーであるDuPont社は,今回7件の特許を新たに開放した。空調などに使用する冷媒に関する特許で,既存の冷媒と比べてオゾン層の破壊や地球温暖化の要因を低減,または取り除くことができるという。自動車のエアコンや,遠心力を利用した圧縮機を搭載する製品に利用できるとする。

 IBM社によれば,Eco-Patent Commonsには,参加企業9社から既に100件近くの特許が開放されているという。活用事例も現れている。例えば,米Yale Universityは,IBM社が開放した特許のうちの1件を活用し,量子コンピューティング・デバイスの研究で使われる有害物質を含む現像液を,環境保全に適したアルコールと水の溶液に置き換えたとする。