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 東北大学金属材料研究所は,100℃直下の温度域で粘性流動加工できる金・銅(Au・Cu)系金属ガラスを開発した。沸騰水中という比較的低温域で,細長い丸棒形状の同金属ガラスをUの字状に曲げ加工できることを実証した。この金・銅系金属ガラスは,ガラス転移温度(Tg)が84℃と低温であるため,100℃直下の温度域で成形加工できる。同研究所は,従来よりも低温で成形加工できることから,「新規のナノ・マイクロ機械部品や生体材料,装飾材料などの用途展開が見込まれる」と期待する。

 金属ガラス(Metallic Glass)とは,合金の液相の過冷却域が広く,温度を下げると結晶化しないで,そのまま凝固したもの。一般的に合金組成が3元素以上の多元系で,各原子の直径が12%以上異なり,各元素が化合物化しやすいなどの共通した特徴を持つ。通常の金属は凝固する際に構成原子が整列した結晶構造をとるが,金属ガラスは結晶構造をとらずにアモルファス状にバラバラな状態で凝固する。今回見い出した金・銅系金属ガラスは過冷却液体域(ΔTx)が35℃と広いので,優れた金属ガラス形成能を持つ。本金属ガラスの合金組成の詳細については,現在,特許出願準備中であるため公表していない。

 本金・銅系金属ガラスは,代表的なステンレス鋼であるSUS316Lを上回る優れた耐食性を持ち(1N硫酸水溶液中に浸した試験結果による),破壊強さが800MPa以上など,優れた特性を示した。耐食性が優れている理由は,表面がアモルファス状であるため,腐食の起点となる表面欠陥を持たないからという。

 本研究開発は,東北大学金属材料研究所と東京工業大学応用セラミックス研究所,大阪大学接合科学研究所の材料系3研究所が全国共同利用研究所連携プロジェクトとして「金属ガラス・無機材料接合開発共同研究プロジェクト」として実施した研究開発成果の一つ。この連携プロジェクトは平成17年度(2005年度)から5年間実施され,平成21年度で終了する。

《訂正》
記事掲載当初,金属ガラス・無機材料接合開発共同研究プロジェクトの実施期間に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。記事本文は既に訂正済みです。