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図1:ファイバ・ヒューズの伝播と,破損した光ファイバ内部
図1:ファイバ・ヒューズの伝播と,破損した光ファイバ内部
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図2:ファイバ・ヒューズ検知の既存技術(上)と,今回開発した技術(下)
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 情報通信研究機構(NICT)は,光通信に使用する光ファイバに限界を超えたパワーが集中したときに発生する,光ファイバの破壊伝播現象「ファイバ・ヒューズ」を遠距離で検知する技術を開発した(発表資料)。この現象は数m/秒で進行するため,迅速に対応しないと長距離の光ファイバを損傷し,広域の通信インフラの破壊や通信機器の焼損,ケーブル火災などにつながる可能性がある。開発した技術はこの現象の発生を遠方の光送信機から検知でき,1/100秒以下で光送信機を停止できる。これにより,光ファイバの破壊を数mm以下に抑えられるという。

 開発した技術は,ファイバ・ヒューズが発生した時に,光送信機方向に戻ってくる微小な反射光を検出するもの。(1)検出感度が高い,(2)既存の技術と異なり,ファイバ・ヒューズが発生する可能性がある個所に逐一機器を設置する必要がなく,遠方から監視できる,(3)簡単な構成の受光系で検知できる,(4)小型で低価格に実現できるため,光通信システムのほか,計測用や加工用の高出力レーザ機器などにも汎用的に組み込める,といった利点があるとする。

 光通信においては,波長多重技術などにより通信容量を高めており,光ファイバ中の光パワーも高まっている。光パワーが光ファイバの限界に達すると,ファイバ中の微細なゴミやわずかな欠陥によって,中芯(コア)の温度が急激に数千℃以上まで上昇し,プラズマ化現象が生じるという。これがファイバ・ヒューズであり,光ファイバを連続的に破壊する。既存の監視・検知技術としては,例えばカメラによる監視や,融解電極センサによる検知などがあったが,いずれも遠隔での監視・検知はできなかった。

 NICTは今後,製品化への技術移転に向けて研究開発を進める。NICTは今回の成果を,2009年3月22~26日に米国カリフォルニア州サンディエゴ市で開催中の「OFC/NFOEC2009(the Optical Fiber Communication Conference & Exposition and the National Fiber Optic Engineers Conference)」で,3月26日に発表する予定である。