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 東京大学の研究グループは,クレイ(粘土)を電界質の媒質に利用する色素増感型太陽電池を作製し,10.3%という高い変換効率を確認した。「日本化学会第89春季年会」(日本大学,2009年3月27~30日)で発表した。

 開発したのは,東京大学 先端科学技術研究センター 教授の瀬川浩司氏と同 特任准教授の内田聡氏の研究グループ。この太陽電池は,ヨウ化リチウムやヨウ素などを含む溶液に粘土の一種を加えて均一に混ぜたものを電解質として利用する。粘土は具体的には,コープケミカル製「合成スメクタイトSTN」である。「有機化層粘土鉱物(ナノ・クレイ)」とも呼ぶ。イオンと混ぜ合わせた場合,振動など応力を加えると液状化(ゾル化)するが,放置しておくと擬固体(ゲル)として振舞う「チキソトロピー」という性質を備えている。

 光を受ける側の電極(アノード)にはFTOを利用し,そこに酸化チタン(TiO2)膜を18μmの厚さで形成。さらに,色素増感型太陽電池としては一般的なRu錯体から成る色素「N719」を染み込ませた。

 電解質中における粘土の重量比を変えて太陽電池の特性を調べたところ,重量比約10%の場合に変換効率10.3%が得られたという。

 今回,電解質に粘土を加えたのは,電解質をゲル化することで,色素増感型太陽電池につきまとっていた,液漏れが起こりやすいという課題を解決するため。従来のゲル化材料では,電荷の担い手であるイオンの動きが悪くなり,変換効率が下がる問題があった。今回の変換効率の10.3%という値は,液状の電解質を利用した場合と同等という。