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 「国内に1億台規模で存在するテレビの半分が使うサービスに育てたい」

 インターネット国内最大手,ヤフーの井上雅博社長はテレビ向けネット・サービスについて,こう意気込みを話した。同社は6日,シャープやパナソニック,ソニーなど国内主要テレビ・メーカーのネット対応テレビで利用できるネット・サービス「テレビ版Yahoo!JAPAN」を始めた。

テレビ向けサービスを本格化
ヤフーの井上社長は6日の会見で「テレビ向けサービスを本格化する」と述べるとともに「テレビでもパソコンと同様にオープンな環境を作っていく」と話した
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 デジタルテレビ情報化研究会が策定したHTMLブラウザーに対応。テレビでの閲覧スタイルとリモコン操作に合わせた操作性を考慮したテレビ専用の表示画面で,「検索」や「天気」「スポーツ情報」「星座占い」など7サービスを提供する。ヤフーは既にシャープやソニーの薄型テレビ,任天堂の家庭用ゲーム機などに専用ネット・サービスを提供しているが,主要メーカーすべてのネット対応テレビでの利用を目指したサービスを提供するのは今回が初めてだ。

2009年度末までに300万ユーザーのポテンシャル

 井上社長の期待の背景にあるのは,2011年のアナログ放送終了でネット対応のデジタル・テレビへの移行が進むこと。ヤフーの調査によれば,これまでに約1000万台のネット対応テレビが国内で販売され,今後1年で600万台が上乗せされる。そのうち2割のユーザーがネット接続すると見ており,2010年3月末までには300万台を超えるテレビで同社のサービスが利用されるポテンシャルがあるという。

 同社がこの時期にテレビ向けサービスを本格化させるのは,今後数年で消費者のネット利用動向が大きく変わる可能性を見据えているからだ。井上社長は,一般利用者のネットの平均利用時間が1カ月に約13時間である一方で,テレビの視聴時間は約119時間と大きく差があることを指摘。薄型テレビをサービス提供のメディアに加えることで,ネットの利用時間を大幅に増やせるとの考えを示した。

第一弾はシンプルに
テレビ向けでもパソコン向けサービスに近いユーザー・インタフェースを提供。画面表示を高速化する工夫を加えた
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 第一弾の7サービスはシンプルなものばかり。ただ,今後はネット通販やオークション,動画配信などヤフーの主力サービスを加えていく計画だ。2200万人を超える「Yahoo! ID」会員や,1800万人以上が使う決済サービス「Yahoo!ウォレット」などの導入に加え,テレビ番組と連動したサービスを模索していく。

 既にシャープの薄型テレビ向けの専用サービスではパソコン用のYahoo! IDでテレビ向けサービスにログインできる機能を導入済み。具体的な導入時期は明言していないが,今回のサービスでも利用者の動向を見ながら,同様の対応を進めていくことになりそうだ。

 特に決済サービスはNHKやフジテレビジョン,USENの動画配信サービスで導入されるなど,コンテンツ企業とのネット連携も広がっている。今回は動画配信サービスを始める具体的な時期について明言しなかったが,テレビ・メーカーやコンテンツ提供企業などと水面下で議論を進めているもようだ。2008年秋以降,ヤフーは何度かテレビ向けの動画配信サービスのデモを見せている。テレビ向けネット・サービスのキラーアプリと目される動画配信への対応が,パソコン同様に多くの利用者を取り込むカギの一つになりそうだ。