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取り出した電子ペーパー。左が新機種,右が旧機種のもの。左の電子ペーパーでは表示が保持されているのが分かる。(写真:中村 宏)
取り出した電子ペーパー。左が新機種,右が旧機種のもの。左の電子ペーパーでは表示が保持されているのが分かる。(写真:中村 宏)
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新機種の電子ペーパーの型番。左上の文字列の最後にある「4」が,バージョンを示しているとみられる。
新機種の電子ペーパーの型番。左上の文字列の最後にある「4」が,バージョンを示しているとみられる。
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旧機種の電子ペーパーの型番。左上の文字列の最後にある「3」が,バージョンを示しているとみられる。
旧機種の電子ペーパーの型番。左上の文字列の最後にある「3」が,バージョンを示しているとみられる。
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新機種に搭載されていた電子ペーパー用コントローラIC。セイコーエプソンとE Ink社のロゴが確認できる。
新機種に搭載されていた電子ペーパー用コントローラIC。セイコーエプソンとE Ink社のロゴが確認できる。
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 新機種「Amazon Kindle 2」と旧機種「Amazon Kindle」のメイン基板を観察した日経エレクトロニクス分解班。続いて,電子ペーパーの分析に取り掛かった。

 Kindleシリーズに搭載されている電子ペーパーは,米E Ink Corp.製。マイクロカプセルに内包した白色と黒色の粒子を上下させて白黒表示,あるいは階調を表現する,いわゆる「電気泳動方式」の電子ペーパーだ。かつてソニーが国内で販売していた電子ブック「LIBRIe(リブリエ)」のほか,米Sony Electronics Inc.が2006年10月に米国で発売した「Sony Reader」やその後継機など,世界各国で販売されている電子ブックの多くが採用している。

 Kindleの旧機種から新機種への移行に際し,果たして電子ペーパーにはどのような変更点があるのだろうか。まずは,仕様を確認してみる。画面寸法はいずれも6型。画素数も同じく800×600と変わらない。一方,仕様面で変化が見られるのは階調数と反応速度(ページを送る速度)だ。階調数は4から16に増加し,反応速度は20%向上したとうたっている。

 早速,分解したKindleから電子ペーパーを取り出してみる。液晶パネルのようにバックライトがないため,やはりシンプルな印象である。分解したにもかかわらず,画面表示はそのまま保持されている。電子ペーパーの最大の特長である表示の不揮発性を,あらためて実感した瞬間だ。なお,ガラス基板のTFTを利用しているため,フレキシブルではない。

 電子ペーパーに付いている型番を見てみる。旧機種は「3」,新機種は「4」となっていた。1世代分だけバージョンアップしているようだ。この点について後日,業界関係者に確認してみた。すると「バージョン3から4への変更は,特筆に値しない,わずかな改良」という。

 では,階調数と反応速度(ページを送る速度)の改良は,どのように実現しているのか。電子ペーパー用のコントローラICを確認してみる。

 新機種のコントローラICは,どうやらメイン基板の片隅に実装されている,セイコーエプソンとE Ink社のロゴが付いたチップのようだ。一方旧機種は,SDメモリーカード・スロットの下に隠れて実装され,チップ表面に「Apollo」と刻印されているICがそれのようだ。

 前出の業界関係者はこう解説する。「セイコーエプソンとE Ink社が共同開発したコントローラICによって,E Ink社の電子ペーパーが持つ潜在能力がフルに引き出されるようになった。その結果として,表示性能が向上した。旧機種に搭載されている『Apollo』は,ソニーの『LIBRIe(リブリエ)』用にオランダRoyal Philips Electronics社が開発したコントローラICで,それを流用している」。

 階調数や反応速度(ページを送る速度)など表示性能の改良は,コントローラICの変更によって実現したようだ。

――次回に続く――

「Amazon Kindle」新旧機種の分解については,日経エレクトロニクス2009年4月20日号のNEレポート「Amazon社の電子ブック「Kindle」の新旧機を分解」にも掲載しております。