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 長岡技術科学大学は,ナミックス(新潟市),マコー(新潟県長岡市),新潟県工業技術総合研究所と共同で,直径数nmのナノ粒子を量産できるパルス細線放電装置(PWD)のプロトタイプの開発にメドを付けた。パルス細線放電装置の原理は, 細長いワイヤーにパルス大電流を流すと,ワイヤーが電気抵抗によって瞬間的に急加熱されてプラズマ化して気化し,そのプラズマが周囲にある雰囲気ガスによって急速に冷却されて金属超微粒子として凝固する現象を利用するもの。将来、1台当たり3000万円で販売する計画だ。

 基本原理そのものは従来から知られていたが,長岡技科大の極限エネルギー密度工学研究センターは工業的な実用機を初めて開発し,「パルス細線放電法」と名付けた。パルス細線放電装置は,直径0.1~0.4mmの金属細線を連続供給する機構部,金属細線をホルダーに固定しパルス電圧をかけてプラズマ化し超微粒子をつくるチャンバー部,パルス電圧を繰り返し印加する放電電源,超微粒子を回収する回収機構などで構成する。印加する標準パルス電圧は2k~10kV・周波数0.2~4Hz、チャンバーの雰囲気はアルゴンガスや窒素ガス,酸素ガスなどである。同装置の実用化上の課題は電極部の改良で,ほぼメドをつけたもようだ。

 現在までに作製した超微粒子は銅(Cu),酸化アルミニウム(Al2O3),窒化鉄(Fe4N)など。作製したい超微粒子に応じて,供給する金属ワイヤーを銅,鉄,黄銅(Cu-Zn),ニッケルアルミニウム(Ni-Al)などと変える。例えば,窒化鉄の超微粒子をつくる場合は,窒素ガス(N2)・アンモニア(NH3)混合ガス中に配置した鉄細線にパルス大電流を印加する。高温に加熱された鉄超微粒子と周囲の窒素ガスやアンモニアと反応して窒化鉄の超微粒子が合成される。高性能なγ-Fe4N超微粒子の単相合成も目指しており,検討を進めている。

 「最近は金属超微粒子の表面に有機材料膜を被覆する複合材料化技術の開発にも成功した」(新原皓一教授)という。この有機材料被覆の超微粒子は積層セラミックスコンデンサー用導電ペースト粒子や微細加工用ウェットブラスト粒子などへの応用を目指している。パルス細線放電装置を利用する有機材料被覆超微粒子の研究開発は,科学技術振興機構(JST)の JSTイノベーションサテライト新潟(新潟県長岡市)が進める育成研究プロジェクトの一つである。