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図1 KDDIが決算発表会で示した,移動体通信方式のロードマップ
図1 KDDIが決算発表会で示した,移動体通信方式のロードマップ
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 KDDIは,2009年4月23日に開催した決算説明会(Tech-On!の関連記事)において,同社が採用する移動体通信方式の進化の方向性を明らかにした。CDMA2000 1x EV-DOのRev.Aを採用しているKDDIは,2012年に予定するLTE(long term evolution)導入に先立って,マルチキャリア版Rev.Aを導入する計画であることを初めて表明した(図1)。「マルチキャリア版のRev.Aを検討しているのはKDDIだけではない。名前は言えないが,他の事業者とも一緒にやろうと話している」(KDDI 代表取締役社長兼会長の小野寺正氏)。第3世代携帯電話システムとしてCDMA2000を採用した携帯電話事業者の多くが,LTE導入前にマルチキャリア版Rev.Aの採用に向かいそうだ。

 マルチキャリア技術は,複数の搬送波(キャリア)を束ねてデータを伝送する技術であり,ユーザーが複数の搬送波を占有できる状況のときに最大データ伝送速度を高められる。「変調方式は変えずに,キャリアを複数にするだけ」(小野寺氏)の予定だが,現時点では最大データ伝送速度や,束ねるキャリアの数などは未定である。また,800MHz帯と2GHz帯の一方あるいは両方にマルチキャリア技術を導入するか,異なる周波数帯をまたがって複数のキャリアを利用できるようにするか,なども未定とした。採用時期については「『今年度中』というほど早い時期ではないだろう」(同氏)と表明するにとどめた。

 KDDIがマルチキャリア版Rev.Aの採用を決めた理由は,基地局設備のハードウエア変更が不要で,ソフトウエアの改修だけで導入できることだったという。「マルチキャリア版Rev.Aは,3GPP2で標準化されているものではないが,複数の携帯電話事業者が導入することで標準化もついてくるのではないか」(小野寺氏)という見通しを示した。端末は新たにマルチキャリア版Rev.Aに対応させる必要があるものの,CDMA2000陣営の多くが採用に向かえば端末のコスト増加が許容範囲に収まると見込んでいる。

 KDDIの小野寺氏は今回の決算説明会で,LTEのサービス開始時期を「2012年」と明言した。「仮に5MHz幅でよければ早い時期に導入できるが,10MHz以上の幅でなければLTEを導入する意味がない。2012年の再編が予定されている800MHz帯の10MHz幅を利用するというのが本命」(同氏)である。総務省が3.9G導入のための周波数割り当て方針を固めた1.5GHz帯については,「もし周波数が割り当てられた場合はLTEに利用する。ただし,1.5GHz帯は世界の標準周波数帯ではなく,使いにくいところがある。800MHz帯のLTEサービスを都市部で補完するのが主な役割になるのではないか」(同氏)とした。

■変更履歴
第4段落において,「5GHz幅」としていましたが,正しくは「5MHz幅」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。