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JSR代表取締役社長の小柴満信氏(左)と同社専務取締役の春木ニ生氏。
JSR代表取締役社長の小柴満信氏(左)と同社専務取締役の春木ニ生氏。
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五つの戦略事業で300億円の売上高を目指す。
五つの戦略事業で300億円の売上高を目指す。
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設備投資や研究開発費を戦略事業に重点配分。
設備投資や研究開発費を戦略事業に重点配分。
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 JSRが2008年度(2008年4月~2009年3月)の連結決算を発表した。売上高は前年度比13%減の3525億200万円,営業利益は同49%減の303億4700万円,当期純利益は同62%減の139億8100万円と,「2001年度以来の減収減益」(同社専務取締役の春木ニ生氏)となった。部門別では,石化系事業の売上高が同8%減の2061億1600万円,営業利益が同37%減の98億5000万円,半導体材料やFPD材料などが含まれる多角化事業の売上高が同20%減の1463億8500万円,営業利益が同54%減の204億9600万円だった。特に同年度第4四半期(2009年1月~2009年3月)は石化系事業と多角化事業のいずれも赤字だった。

 多角化事業のうち半導体材料部門の2008年度売上高は前年度比24%減の505億円だった。同年度上期(2008年4月~2008年9月)の後半にDRAMの生産調整が始まり,続いて2008年11月にNAND型フラッシュ・メモリー,そのしばらく後にロジックLSIといった具合に,ほぼすべての半導体デバイスで減産が強化されたという。売上高は2009年1月に底に達し,その後は底バイ状態が続いていると説明した。この結果,ArFレジストを含むほとんどの半導体材料の売上高が減少したが,液侵露光向けのトップ・コート材料は売上高を伸ばしたという。

 FPD材料部門の2008年度売上高は前年度比23%減の592億円だった。同年度上期の後半に台湾メーカーの減産が始まり,2008年11月に日本メーカーや韓国メーカーが続いたとする。その中でも台湾と日本の減産幅が大きかったという。その後12月に底を打ち,2009年3月からFPDメーカーの中に増産の動きが出てくるなど,若干の回復感が出てきたとの認識を示した。

 また光学材料部門の2008年度売上高は前年度比14%減の108億円と,他部門に比べて小さかった。この理由として,液晶やPDPに使われる反射防止・表面保護膜の売上高が前年度を超えたことを同社は挙げた。

 今後について,2009年度上期(2009年4月~2009年9月)は売上高が1360億円,営業利益が15億円,当期純利益が-15億円と苦戦が続く。しかし下期(2009年10月~2010年3月)は売上高が1540億円,営業利益が135億円,当期純利益が115億円に回復するとみている。ただし,2009年度通期(2009年4月~2010年3月)の売上高は2900億円,営業利益は150億円,当期純利益は100億円と「減収減益」(同氏)が続く。

 このような見通しを踏まえ,同社が進めてきた中期経営計画「JUMP2010」を見直した。2010年度(2010年4月~2011年3月)の当初計画は,売上高が5000億円,営業利益が750億円,営業利益率が15%としていた。これを見直して今回の計画では,売上高が3600億円,営業利益が360億円,営業利益率が10%に修正した。その上で,既存事業の石化系事業や多角化事業の構造改革やコスト削減を進めるとともに,「機能化学品,精密加工,環境・エネルギー,情報通信,メディケアの五つを戦略事業と位置付け,これらの戦略事業に経営資源を重点配分する」(同社代表取締役社長の小柴満信氏)とした。

 例えば研究開発費は,全体としては2008年度の213億円から2009年度は190億円に減額するが,五つの戦略事業への配分は2008年度の21.9%から2009年度は30%に増やす。同様に設備投資も,当初計画では2007~2010年度の4年間に1300億円を投資する計画だったが,これを200億円減らして1100億円にするとともに,2010年度投資予定の約210億円のうちの70億円強を五つの戦略事業に振り向ける。

 200億円の減額対象は,生産能力増強のための投資や半導体のArF液侵の次の露光技術のための投資などである。ArF液侵の次の露光技術としては,当初EUV露光を見込んでいたが,その後ナノインプリントなどを含めた各種露光技術を検討していた。しかし,2010年までにこのような投資は不要と判断して今回の減額に至った。なお露光関連でも,四日市の新工場に関しては予定通りに投資して2009年4月に完成済みである。