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経営施策を発表する三菱重工業代表取締役社長の大宮英明氏
経営施策を発表する三菱重工業代表取締役社長の大宮英明氏
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 三菱重工業は2009年4月28日,世界同時不況を受けて策定した経営施策の概要を公表した(同日に発表した2008年度通期連結決算に関する記事)。短期的な利益確保を目的とした「緊急対策」と中長期的な成長に向けた「強化対策」の二本柱で構成されており,事業環境が悪化する中での利益確保を目指す。

 緊急対策(同社は「チャレンジ09」と呼ぶ)は,大きく分けて「原価低減活動」「売り上げ確保」「円高対策」の三つである。

 原価低減活動の内容は,(1)以前から進めてきた「ものづくり革新活動」の強化・加速(2)経費削減活動(3)業績悪化が著しい量産品事業の対策(4)役員報酬削減――である。(1)の具体的な活動としては標準化・共通化が挙げられる。特に受注品事業では,製品に合った新規部品を造りがちだったが,「量産品事業の考え方を適用」(同社代表取締役社長の大宮英明氏)し,図面や部品の共通化を進めたことで,2008年度の段階で開発リードタイムを従来から17%短縮した。今後は,標準化・共通化をさらに徹底することで,リードタイムの短縮幅を30%まで引き上げることを目指す。さらに,複雑な製造プロセスにシミュレーション技術を適用して製品の信頼性を高めたり,IT活用によるサプライチェーンの革新に取り組んだりすることでコスト削減を図る。

 円高対策としては,海外生産移管の計画前倒しが挙げられる。具体的には,自動車向けターボチャージャの生産をタイ(Mitsubishi Turbocharger Asia社),フォークリフトの生産を中国・大連に移す予定である。国内・海外の生産量のバランスを取ることで,為替変動に強い体質を確立する。

 一方,成長に向けた強化対策としては,エネルギ・環境事業,航空・宇宙事業,交通システム・プラント事業,サービス事業の強化および拡大などがある。エネルギ・環境事業に関しては,「新興国でエネルギ不足になることは明らか」(大宮氏)であることから,事業機会が増えると見ており,積極的な投資を行う。具体的な品目としては,ガスタービン,石炭ガス化複合発電,再生可能エネルギ(風力発電,太陽光発電),原子力発電,リチウムイオン電池などが相当する。航空・宇宙事業に関しては,米Boeing社の民間航空機「787 Dreamliner」向け複合材主翼の量産が本格的に始まるほか,三菱重工が2013年に航空会社への納入を目指す小型旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」の開発を加速させる。交通システム・プラント事業に関しては,世界各国で景気対策として大規模鉄道プロジェクトが進んでいるため,そうしたプロジェクトの受注を目指すという。

 強化対策を支えるため,2009年度は研究開発費として1200億円を投資する(2008年度は1013億円)。また,新卒採用に関しても,不況だからといって大幅に絞るということはせず,2009年度は1500人を採用する(2008年度は約1800人。