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同社 常務取締役 経理本部長の大澤正宏氏
同社 常務取締役 経理本部長の大澤正宏氏
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 キヤノンは2009年第1四半期(2009年1~3月)の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比31.8%減の6870億3400万円,営業利益は同88.3%減の200億3200万円,純利益は同83.4%減の177億4400万円で,直前期に引き続いて減収減益だった。民生用製品の市況悪化には,一部底入れ感が出始めたが,オフィス機器市場は想定以上に市場環境が悪化したという。オフィス向け製品の需要の低迷やレーザ・プリンターの販売数量の減少,円高などが,大幅な減収減益につながった。為替による影響は,売上高で784億円,営業利益で437億円のマイナス要因になっているとする。

 同社は厳しい経営環境の中で,2009年第1四半期に約500億円の経費削減を実行した。「広告・宣伝・販売費や開発費など,聖域のない削減を行った」(同社 常務取締役 経理本部長の大澤正宏氏)ことによって黒字を確保し,「まずまずのスタートを切ることができたと考えている」という。

 主力の「事務機」事業の売上高は,対前年同期比34.7%減の4516億600万円,営業利益は同63.8%減の591億400万円だった。複写機市場では,景気後退による本体の買い控えや複写機使用の節約傾向が続いており,本体などのハードウエアと消耗品などの非ハードウエアの需要が,共に想定を大きく下回った。複写機のハードウエアの売上高は対前年同期比で35%強の減少,非ハードウエアの売上高は同30%弱の減少になったという。レーザ・プリンターは同41.9%減の大幅減収となったものの,インクジェット・プリンターは販売台数の減少を抑えた。市場が縮小する中で,米国で販売台数を伸ばしたことなどが貢献したとする。

 「カメラ」事業は,売上高が対前年同期比24.4%減の1655億4900万円,営業利益が同82.9%減の78億3000万円だった。コンパクト機の需要は減少したが,「在庫の滞留や価格下落は懸念されたほどではなく,相対的には堅調に推移した」いう。一眼レフ機は販売台数を伸ばしたものの,コンパクト機の販売台数の減少や円高が響き,事業全体では減収となった。

 大澤氏は,「景気回復の途上では,民生用製品を中心に売り上げを伸ばしたい。事務機器の回復は遅れるとみている」との考えを述べた。各国が講じる景気対策などによって,民生用製品の需要には期待できるものの,金融不安が落ち着かない状態での企業の需要増加は難しいとする。デジタル・カメラなどの民生用製品の在庫は,「適正な水準を維持しており,新製品で攻勢をかけるチャンスとみている」が,事務機器事業は「想定した売上高が出ておらず,底を打った感じがない」と話した。

 半導体製造装置などを手掛ける「光学機器その他」事業の売上高は,対前年同期比27.8%減の698億7900万円,営業損失は113億4900万円を計上した。営業損益は前年同期の黒字から赤字に転落した。液晶用露光装置の販売台数は伸びたが,半導体露光装置の販売台数の落ち込みが大きかった。

営業利益および純利益の予想を上方修正

 キヤノンは,2009年通期(2009年1~12月)の業績予想を,前回発表から修正した。売上高は前回発表から1700億円引き下げ3兆3300億円としたたものの,営業利益と純利益を上方修正した。営業利益は200億円引き上げ1800億円,純利益は120億円引き上げ1100億円としている。当初の計画において,1120億円程度を目標としていた2009年の経費削減額を,1720億円程度に引き上げる見通しがついたことなどが,修正の理由という。