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代表取締役社長の森郁夫氏
代表取締役社長の森郁夫氏
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 富士重工業の2008年度(2008年4月~2009年3月)決算は,15年ぶりに純損失を計上した。売上高は前年度比8.0%減の1兆4457億9000万円,営業損失は58億300万円,純損失は699億3300万円である。航空部門の取引先である米Eclipse Aviation Corp.が破産法の適用を申請したことによる債権回収不能などの損失89億円,世界ラリー選手権(WRC)撤退に伴う補償費用30億円など,不況を背景にした一時費用が発生した。

 自動車の販売台数は国内が前年度比14.3%減の17万9000台,海外が同2.9%減の37万7000台,合計で同6.9%減の55万5000台だった。北米では市場規模が縮小する中でシェアを伸ばし,前年度比1.5%減の20万7000台を販売した。「当社のような小さなメーカーの場合,市況よりも自分たちが優れた製品を用意できるかどうかが業績浮沈のカギを握る」(代表取締役社長の森郁夫氏)という。2009年度の米国の市場規模を富士重工は1000万台前後と予測している。「市場は低迷が続くが,当社は主力車種である『レガシィ』の第5世代車を投入し,引き続き最重点地域である米国市場での拡販を図りたい」(同氏)。

 2009年度の業績予想は,売上高が前年度比8.2%減の1兆3200億円,営業損失350億円,純損失550億円とした。「2008年秋以降の景気後退への対策として,生産調整や派遣/期間従業員の契約更新中止,役員の報酬削減,春闘でのベアゼロ(全従業員の賃上げ0円)決定とさまざまなコスト削減策を講じてきた。今後は絞った手ぬぐいをさらに絞る」(森氏)。トヨタ自動車との共同開発車を生産する予定だった新工場建設を中止し,既存工場で対応するなど,投資抑制を図る。2009年度の設備投資は590億円を予定しており,2007年2月に策定した中期経営計画の想定を約30%下回る見込み。ただし,2007年度や2008年度に比べると微増になる。次世代の水平対向エンジンの開発や,その新エンジンの生産ライン設置(大泉工場内)などに振り向けるという。

 2009年度の自動車販売は前年度比8.5%減の50万8000台を見込む。国内では同10.3%減の16万台,北米では同3.8%増の21万5000台の計画。発売を目前に控えた第5世代レガシィの拡販に「手ごたえを感じている」(森氏)といい,下期以降の業績への寄与に期待する。レガシィの2009年度の世界販売台数は,旧型を含めて前年度比で約3割増の15万7000台と予測する。このうち国内の新型レガシィ販売台数は3万4000台になる見込み。なお,この業績予想にはエコカー減税などの政府対策の影響は織り込んでいない。「期待はしているが,まだどうなるかわからない」(森氏)。一方で,公的資金の申請に向けて,日本政策投資銀行と協議していることを明らかにした。