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図 TDK 代表取締役 社長の上釜健宏氏
図 TDK 代表取締役 社長の上釜健宏氏
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 TDKは,2009年3月期(2008年4月~2009年3月)の連結業績を発表した(発表資料)。売上高は前年度比16%減の7274億円,営業損益は前年度から1414億8000万円悪化して543億500万円の赤字となった。当期純損益は同1346億2100万円悪化して631億6000万円の赤字だった。2008年11月~2009年1月の予想を超える受注減が響き,売上高と当期純利益で過去最高を記録した前期から一転,赤字となった。

 赤字の大きな要因は,高機能な電子機器の需要低迷と自動車の不振とTDKは説明する。2008年度上期の段階で,AV機器やパソコン,携帯電話機などの電子機器は,北京オリンピックに伴う需要が期待したほど伸びなかった。自動車関連部品も原油高の影響を受けて不振だった。2008年度下期になると,いわゆるリーマン・ショックや世界同時不況から電子部品の受注は急減し,工場の操業度が低下。第4四半期になると在庫調整のために操業度は50%以下へと大幅に低下して採算性が悪化した上に,売価も下落した。例えば,需要増加に備えて2008年に立ち上げた本荘工場(秋田県)は,第4四半期に稼働率が最大の30%にまで落ち込んだという。円高による影響もあり,売上高は798億円,営業利益は189億円悪化した。

 製品として大きく落ち込んだのは,コンデンサとHDD用ヘッドである。コンデンサとフェライトコア及びマグネットを扱う「電子材料」部門の売上高は,前年度比27.5%減の1451億1100万円だった。HDD用ヘッドなどを扱う「記録デバイス」部門の売上高は,同26.1%減の2472億3300万円だった。

 一方,2次電池は好調で落ち込みは少なかった。2次電池や,事業統合を進めるドイツEPCOS AGの製品などを扱う「その他」部門の売上高は1688億9200万円で,同38.0%増となった。ただし,EPCOS社の下期分の売上高679億8300万円が含まれている。コイル製品やEMC製品,トランスなどのインダクティブデバイスと高周波部品などを扱う「電子デバイス」部門の売上高は1661億6400万円で,同20.5%減だった。

 同社は,2010年3月期(2009年4月~2010年3月)の連結業績見通しを,併せて発表した。「相変わらず市場は厳しく,部品需要の伸びは期待できない」(同社 代表取締役 社長の上釜健宏氏)として,売上高は前年度比1.3%減の7178億円とした。売上高は微減だが,2008年度から取り組んでいる構造改革による原価低減の効果や,新製品投入による収益性改善により,黒字化を目指す。営業利益は前年度比678億円増の135億円,当期純利益は同684億円増の52億円とする。同社は構造改革費用として2008年度に334億円,2009年度に33億円を投入している。その結果,2009年度には約720億円の効果が得られると見込む。これまでTDKは,EPCOS社やデンセイ・ラムダ,アルプス電気のHDD用ヘッド事業,HDD用サスペンションのタイMagnecomp Precision Technology Public Company Ltd.などを買収したり,小型高容量の積層セラミック・コンデンサの生産に向けた本荘工場で量産体制を実現するなど,「前期までかなり投資してきた」(上釜氏)。2009年度は「何とか,刈り取りに早くまわりたい」(上釜氏)考えだ。2009年度の見通しは不透明としながらも,直近では2009年4月以降,操業度が60~70%に回復している。また,HDD用ヘッドは現時点で黒字化しているとする。