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右がパラボラ・アンテナで,左が実装したRF回路部
右がパラボラ・アンテナで,左が実装したRF回路部
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わずか12mm角に収めた
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アンテナとRF回路部を表裏に実装
アンテナとRF回路部を表裏に実装
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LTCCの多層基板内にフィルタなどを作りこむ
LTCCの多層基板内にフィルタなどを作りこむ
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パラボラ・アンテナの鏡面構造を擬似的に形成
パラボラ・アンテナの鏡面構造を擬似的に形成
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アプリケーションのイメージ
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家庭内に多数の端末を配置して,信号を中継するといった用途も想定する
家庭内に多数の端末を配置して,信号を中継するといった用途も想定する
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 NTTは,60GHz帯の無線通信に向けた小型アンテナ・モジュールを開発した(発表資料)。セラミックの多層基板技術を使い,ミリ波帯用のパラボラ・アンテナを,12mm角と小型サイズで実現した。性能はアレー・アンテナに匹敵するという。家庭内のAV機器間ネットワークや,携帯電話機への応用を想定する。NTTはこのアンテナ・モジュールを使い,最大データ伝送速度が10Gビット/秒の無線伝送システムを試作しており,2009年5月12日~13日にパシフィコ横浜で開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2009」に出展する。

 開発したのは,60GHz帯の無線通信に向けたパラボラ・アンテナ・モジュールで,外形寸法は12mm×12mm×1mmである。低温焼成のセラミック基板「LTCC(low temperature co-fired ceramics)」の多層構造を利用して,モジュール基板内に擬似的にパラボラ・アンテナの鏡面構造を実現した。

 アンテナ・モジュールの裏面には,ミリ波通信のRF回路部品を実装した。このためアンテナ・モジュールであると同時に,RF回路モジュールでもある。このモジュールにベースバンド処理回路やMAC制御回路などを組み合わせることで,ミリ波帯の無線通信アプリケーションに適用できる。アンテナの利得は16dBiと,アレー・アンテナ並みを確保している。アンテナ・モジュールの動作帯域は57G~66GHzで,ビームの角度は20度とする。

 パッケージ技術に加え,信号伝送手法にも工夫を凝らした。伝送時には,10Gビット/秒の信号を複数の周波数チャネルに分配し,並列に無線伝送する。NTTの試作システムでは4チャネル(1チャネル当たり2.5Gビット/秒)を並列伝送することで,10Gビット/秒の伝送速度を確保している。同社の試作機では一次変調方式にQPSKを用いているが,16値QAMなどの高次の変調技術を用いれば,さらにデータ伝送速度を高められるという。なお同社の試作システムは,米IEEE802.15.3cで標準化作業中の伝送方式に準拠しているという。

 NTTは,開発したアンテナ・モジュールを使い,1cc級の超小型無線モジュールの実現を目指している。消費電力の目標は500mW程度で,部材価格は1万円以下である。携帯電話機などへの搭載に向けては,さらなる小型/低消費電力化を実現するほか,部材価格も低減したいとしている。このほか家庭内の無線伝送に向けては,複数のアンテナ・モジュールを宅内に配置することを想定しているという。「家庭内でミリ波伝送する際には,ミリ波の直進性の問題など難しい面もある。ミリ波の小型モジュールを実現し,それを宅内に複数配置すれば,伝送線路内に障害物が配置された場合でも,別の経路を伝って信号伝送を継続できる」(NTT未来ねっと研究所 ワイヤレスシステムイノベーション研究部 グループリーダ 主幹研究員の上原一浩氏)。薄型テレビやセットトップ・ボックスを無線で接続し,HDTV映像をやりとりする用途も視野に入れているようだ。